「話が通じない」は気のせいじゃなかった…責任転嫁する人が脳内で行う“記憶の改ざん”
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【精神科医が教える】関わるとメンタル崩壊…すべてを他人のせいにする「他責的な人」への対処法Photo: Adobe Stock

避けるべき「他責的な人」の特徴と
身を守るための対策

今日は、人間関係において「避けるべき人」の特徴と、その対策についてお話しします。

私は精神科医として多くの患者さんと関わっています。治療は長期間に及ぶことが多いため、「どういう性質の人なのか」「どう関係を構築すべきか」を観察し、最初に方針を立てることが非常に重要になります。

その中で、特に出会った初めの段階で「気をつけたほうがいい」と感じるのが、今回のテーマである「他責的な人」です。

1.他責的な人とは?
自分を守るために他者を攻撃する

「他責的な人」とは、基本的に都合の悪いことが起きると、「誰かが悪い」「あいつが悪い」「みんなが悪い」と考え、自分に責任があるとは決して思わない人のことです。

こうした人が近くにいると、一般的に非常に厄介です。なぜなら、生きていれば必ず一定の確率でトラブルや問題は発生しますが、その際、彼らは絶対に自分が悪いとは認めないからです。

つまり、その人の周りにいるだけで、いずれ確実に、問題の責任をあなたのせいにされる時が来るということです。

彼らにとって、他者を攻撃(責任転嫁)することは「自分を守る手段」です。そのため、最初に「あ、この人は他責的な傾向があるな」と感じたら、少し警戒し、考えながら接する必要があります。

2.なぜ他責的になるのか?
心の防衛メカニズム

もちろん、仕事などで関わらざるを得ない場合は、一定のルールを示した上で付き合っていくしかありません。しかし、プライベートであれば無理に関わる必要はないでしょう。

なぜなら、彼らの行動には「防衛機制」という心の働きが関係しているからです。人間は都合の悪い現実に直面した際、自分の考えを加工して心の安定を保とうとします。

他責的な人は、事実をねじ曲げ、すべてを他人のせいにすることで、「自分は悪くない」と思い込み、心の平穏を保つ方法を学習してしまった人たちだと言えます。

「良い・悪い」ではなく、「そういうメカニズムで心の安定を図っている人なんだ」と理解を示しつつ、適切な距離を保つことが重要です。

3.具体的な2つの対策
「納得」と「記録」がポイント

では、関わらざるを得ない場合、どう扱えばよいのでしょうか。単に「なんだコイツは」と感情的になっても解決しません。以下の2つの手順を踏むことが効果的な対策となります。

①相手の「納得」を先に引き出す

他責的な人は、後になって「お前がああしたからこうなった」と話を変えてくることがあります。そのため、物事を進める前に、一つひとつの段階で相手の合意を得ることが重要です。

「状況はこうなので、この進め方でいいですね?」と確認し、「そうだね、わかった」という「相手の納得」を引き出してから次へ進んでください。

②必ず「記録」に残す

彼らは自分の心の中で現実を作り変えてしまうため、「言った・言わない」の問題が必ず発生します。そのため、口頭だけでやり取りするのは危険です。

仕事の場合: 電話ではなく、メールやチャットなど、文章ベースで冷静にやり取りをする
こじれそうな場合: 最終手段として、録音なども検討する
「相手の納得を引き出し、その合意内容を記録に残す(日付なども具体的に)」

この手順を踏んでおけば、後で責任を押し付けられそうになっても、証拠があるため相手は何も言えなくなります。

無理に関わらず
必要な時は防御を

本来、相手の納得を確認していちいち記録を取るというのは、非常に手間のかかる作業です。プライベートでそこまでするのは現実的ではありません。

ですから、基本的には「他責的な人を見たら警戒し、無理に関わらない」のが一番です。

しかし、仕事や親族など、どうしても縁を切れない場合は、彼らが「自分を守るために事実を歪曲してしまう人たち」であることを理解したうえで、自分が傷つけられないよう、上記の対策(納得と記録)を徹底して身を守ってください。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。