2025年のノミネート作にも、朝ドラから上がった候補があります。
【ノミネート番号1】
「絶望の隣は、希望や」
柳井寛(竹野内豊さん)-ドラマ『あんぱん』第25話より
主人公のモデル・やなせたかしさんご本人の言葉をもとにしたセリフです。
やなせさんは、東日本大震災の年に『絶望の隣は希望です!』というタイトルの本を出版していますが、災害に限らず、人生のさまざまな場面で、絶望のふちに立たされた人々に希望を与えてくれる言葉です。
名言グランプリで取り上げるのは、ドラマの言葉だけではありません。
他のノミネート作も、一気に見てみましょう。
【ノミネート番号2】
「弱さを認めることこそが、強さへの出発点」
森遥香さん[アナウンサー]-劇場版『鬼滅の刃』を観て
2025年も、大ヒットした映画『鬼滅の刃』。
この作品を観るたび「強さとは何か」を考えさせられるというアナウンサーの森さん。
強さは生まれつきではなく、弱さを認める勇気から育つことを、登場人物たちから学んだそう。「もっと強くなりたい」と一歩を踏み出そうとする、すべての人の背中を押す一言です。
【ノミネート番号3】
『「自分にもできるかも」と思える勘違い力が、信念や志につながる』
小泉翔建さん[株式会社グッドライフ 代表取締役]-夢を叶える秘訣を問われて
会社を引き継いだときは約1億円の債務超過でどん底のスタートだったのが、今ではそれを解消し、成長を続けているという小泉社長。
原動力は「あの憧れの人のようになれるかも」という「勘違い力」だったといいます。
ポジティブな自己暗示には、未来を変えるチカラがあることを教えてくれる名言です。
【ノミネート番号4】
「好奇心の扉だけは、常に開けておいた方がいい」
黒柳徹子さん[女優、タレント]-40~50代の人へのアドバイスを問われて
いろんな「なりたいもの」を試しては「向いていない」と気づく日々を過ごしてきたという黒柳さん。
今の職業も、最初から目指していたわけではなかったそうです。
何事にもトライする好奇心を大切にすることで、人生は開ける。
そんな可能性を示す黒柳さんのこの言葉は、行き詰まった時に、きっと希望の光を差してくれるはずです。
【ノミネート番号5】
「誰かを許すのは、その人のためじゃない
許せない相手に、自分の人生を支配させないためだ」
旅人KAD(かど)さん[X投稿者@kad4ani]-旅先で出会ったドイツ人にもらった言葉
なかなか許すことのできない怒りを抱え続けることは、むしろ、その相手によって自分がコントロールされている状態なのかもしれないという気づきを与えてくれる言葉です。
自分の中に知らぬ間に根づいてしまった執着を自覚した瞬間、自分の時間を取り戻し、心を自由に開放する道が開けてくる。そんな新しい学びがあります。
【ノミネート番号6】
「生きていく上で、不完全だから進もうと思う」
イチローさん[元プロ野球選手]-米国野球殿堂入り選出後の会見で
アメリカの野球殿堂入りに輝いたイチローさん。
殿堂入りは投票で決まる仕組みですが、満票に1票だけ足りませんでした。
そのことについて、彼が会見で語った言葉です。
人は「もう完全だ」と思った時点で、歩みを止めてしまうもの。
逆に「まだ完全じゃない」と意識することこそが推進力を生むという彼の哲学が、この言葉から読み取れます。
ポテンシャルを信じ続ける姿勢を通して、限界を拡げてくれる言葉です。
【ノミネート番号7】
「誰でもできる仕事こそ、誰がやったかで一番差が出るもの」
上島宏之さん[長瀬産業株式会社代表取締役社長]-4月1日に新入社員に伝えた言葉
上島社長が、新入社員に贈った成長の秘訣は「突き詰める」こと。
最初は「誰でもできる仕事」でも、突き詰めれば「あなたにしかできない仕事」になり、それができる人のもとに、新しいチャンスが訪れる。
自分の仕事の意味や生きがいに悩んだ時にこそ思い出したい、気持ちを奮い立たせてくれる言葉です。
【ノミネート番号8】
「ギブしたことはすぐに忘れて、ギブされたことは忘れない」
中島侑子さん[医師]-今年のテーマについて語って
心を込めてギブしても、その思いが必ず届くとは限りません。
ですが、一喜一憂せず、与えるより、もらった優しさに感謝する生き方をしたいと語る中島さん。
ギブした物に執着するより、ギブされた感謝を意識することで、周囲への接し方は、だんだん優しくなっていくのかもしれません。
【ノミネート番号9】
「きこえても、きこえなくても、人生は人生」
佐々木琢磨さん[東京2025デフリンピック出場 陸上選手]
もともとは野球少年だった佐々木選手。
のちに代表選手にまで上りつめることとなったデフ陸上に出会ったのは、健聴者との会話に限界を感じて野球をやめ、将来が見えなくなったときだったそうです。
人生の価値は、他者と比較できるものではなく、どんな人生にも、その人なりの物語がある。
そんな誇り高さを感じさせる言葉です。
【ノミネート番号10】
「甲子園で優勝できるまで育ててくれて、ありがとうございました」
眞喜志拓斗さん[沖縄尚学高校・野球部主将]-夏の甲子園の優勝インタビューでお母さんに向けて
甲子園で優勝した日は、ちょうどお母さんの誕生日。
優勝インタビューを聞きながら、顔を覆って泣くお母さんの姿が中継に映ると、球場全体が、あたたかい拍手につつまれました。
親子の間で、あえて敬語で伝えた点も、球児の巣立ちを思わせるドラマ性が感じられるような、心がじんとする言葉です。
以上が、2025年のノミネート作でした。

さて、「言葉」という視点で世の中を見わたすと、ニュースでは、悲しいできごとが連日のように伝えられるし、SNSでは、他人を傷つける心ない物言いがあふれています。
一方で、前向きで人の背中を押すようなポジティブな言葉も、同じようにたくさん生まれています。人類が「あすの生活や人生を楽しくしよう」と思えるような言葉が広がり、次世代につながれば、世の中はもっともっと良くなっていくはず。
2025年も、「名言」という視点から、1年をふりかえる季節が来ました。今年の名言グランプリは、11月27日に審査員による審査が行われ、12月上旬に結果が発表される予定です。
結果は、名言グランプリの特設ウェブサイトでお知らせします。お楽しみに。
<名言グランプリ 特設サイト> https://ugokasu.co.jp/tsutaekata-gp/
シリーズ世界累計259万部を突破した『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一が代表を務める株式会社ウゴカスが、2021年9月に立ち上げた研究機関。「あした、もっと伝え上手に。」をコンセプトに、日本人のコミュニケーション能力のベースアップを目指して、調査・研究を行っています。活動の一環として、研究所のサイトやSNSにて、ビジネスパーソンがスマホひとつで“伝え方”の悩みを解消できるお役立ち情報や、各界の名言なども発信中。
【公式サイト】 https://www.ugokasu.co.jp/labo/
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