家庭の中だけで悶々としていると、親の主観が強くなりすぎて、本来の学習の目的や、子どもの良さを見失いかけてしまうことがあります。親が冷静でいるために塾を頼ることは、決して弱さではなく、最良のパートナーシップの形です。
親の感情のブレなさが
子の安心の質を高める
「子どもを責めないようにしましょう」
受験本や教育コラムには、よくそう書かれています。私も、何度も目にしてきましたし、指導者という立場の私は、むしろそれを言う側でもありました。でも、正直な話をすれば――わかっていても、できないときがあるんです。
前にも書いたように息子が過去問の解答を書き直し、点数をごまかして私に持ってきたことがありました。解答欄に残る消した跡に一瞬怒りを覚えましたが、冷静に問いただしたところ、彼は少し黙ってからこう言いました。
「……だって、この点数じゃ怒られると思って」
『「まだ伸びる!」をあきらめない 中学受験 子どもの成績の本当の伸ばし方』(ユウキ先生 KADOKAWA)
「本当は、もっとできるって思われたかった」
その瞬間、私は言葉を失いました。受験直前になり、さらに強く芽生えた息子の中にある恐れと、親の期待に応えたいという気持ちを考えるとなんとも言えない気持ちになりました。
これ以降は特に、私は「点数」よりも「子どもとの向き合い方」を意識するようになりました。点数が低くてもそのプロセスの中に成長があったのか。同じミスをしても、今回はどう考えて、どう迷ったのかを聞いて、子どもが正直に振り返る習慣を作ることが、受
験直前でも安心して勉強に取り組み、本番では立ち直れる力につながると信じて向き合ってきました。
親の感情が揺れるのは当たり前です。でも、その感情に飲まれてしまうか、踏みとどまれるかが、この数カ月で子どもが得る安心の質を決めると思います。







