「経営学の父」と呼ばれるのは誰か、あなたは即答できますか?
その名は――ピーター・ドラッカー。
彼が残した言葉は、時代を越えて世界中の経営者やビジネスパーソンの指針となっています。なぜ没後20年近く経った今も、ドラッカーは読み継がれ続けるのか。
『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』の著者である吉田麻子氏に、現代にこそ響くドラッカーのメッセージを伺いました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)

【令和のマネジメント】部下のモチベーションを上げるために、リーダーがするべき質問とは?Photo: Adobe Stock

なぜ、人は「何のために働くのか」を見失うのか

――部下が「何のために働くのか」を見失わないために、リーダーはどうあるべきだと思われますか?

吉田麻子(以下、吉田):分業化やリモートワークの出現によって、これまで見えていた組織の全体像ではなく、仕事=目の前の作業という感覚を持つ人も増えています。

本来、社会における役割を果たすべく存在している組織が掲げているミッションや、外の世界に創り出そうとしている成果についての実感が薄れ、作業レベルで“こなす”仕事となっている場合、その仕事の本来の目的を見失ってしまうことも少なくありません。

令和の時代は社会の価値観も多様化し、ライフとワークが自分軸に戻りつつある時代です。

だからこそ、組織においてはリーダーが「働く意味の案内役」にならざるを得ない局面もありうると思うのです

「貢献」から働く意味を問い直す

吉田:では、何のために働くのかについてドラッカーのマネジメントで考えてみましょう。

ドラッカーは『経営者の条件』でこう言っています。

「成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える」

メンバーが眼前の作業に取り掛かるにあたり、その仕事の目的についてリーダーが把握し、明確に共有できていることが大切です。