他人をどう解釈するかは
自分をどう解釈しているかが出発点
その際に役立つのが、パーソナリティ心理学の「パーソナル・コンストラクト理論」です。これは、「人にはそれぞれ独自の評価基準があり、それによって物事を予測したり、自分や他者を解釈したりしている」という理論です。
他人をどう解釈しているかについては、「自分自身をどう解釈しているか」が大きく影響しています。また、この解釈は、日々の生活におけるあなたの行動や幸福度にも深く関わっています。
この評価基準は、私たちが周囲の世界を理解するための便利な「枠組み」にもなれば、私たちを閉じ込める檻にもなります。複雑な世の中を迷わず歩くための道標にもなる一方で、自分や他者を凝り固まった考え方でとらえてしまう罠にもなるのです。
私たちは、ときとして自分でつくった枠組みにとらわれてしまいます。しかし幸いにも、これは変えることができます。本文では、このことについて詳しく見ていきます。
それでは、最初の質問に戻りましょう――あなたは、自分のことをどんな人間だと思っていますか?
あなたが自分を「自分」だと認識している根拠は、いったい何なのでしょうか?
他人の行動を解釈する
「3つのアプローチ」
レストランにいるとしましょう。
隣のテーブルにいるのは男性の2人組。そのうちの1人(こぎれいな格好をした若いほう)が、運ばれてきたステーキを「焼き方がよくない」と言ってウェイターに突き返しています。しかも、これで三度目です。それに気づいたあなたは、彼についてどのような印象を抱くでしょうか?
ここでは、3つのアプローチをとることができます。
一番目は、その男性のパーソナリティの「特性」(自己主張が強い、外向的、思いやりがない、感じが悪いなど)を思い浮かべることです。
二番目は、ステーキを突き返した若い男性と、同席していた年配の男性のやりとりを観察して、若い男性に「肉の焼き加減にこだわる」以上の意図があったと推察することです。
つまり、彼は「パーソナル・プロジェクト」と呼ばれる、自分自身にとっての大切なプロジェクト(上司を感心させる、または同席者に「自分は相応しいものしか受け入れない人間である」という姿勢を示す、など)を遂行しているのかもしれません。







