疑問を持つ若いビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

私たちは日々、家族や同僚、さらにはレストランで見かけた見知らぬ人まで、無意識のうちに「こういうタイプの人だ」と解釈している。しかし、その判断は本当に当たっているのだろうか。ハーバード大学で満席が続く人気講義を担当した心理学者ブライアン・R・リトル氏は、人を理解する“枠組み”こそが、私たちの行動や幸福に大きく影響すると説く。※本稿は、心理学者のブライアン・R・リトル著、英日翻訳者の児島修訳『ハーバードの心理学講義』(大和書房)の一部を抜粋・編集したものです。

人を「こんなタイプ」と
解釈する理由とは?

 あなたは、自分のことをどんな人間だと思っていますか?

 母親やパートナーについてはどうでしょう?

 レストランで近くの席にいる見知らぬ人のことをそっと観察して、どんなふうに思いを巡らせていますか?

 私たちはよく、誰かのことを「こんなタイプの人」というふうに考えますが、そう解釈する理由は何なのでしょうか?

 パーソナリティを「タイプ」に分類するテストを受けたことがある人は多いはずです。

 しかし、人のパーソナリティは、このようなテストでは十分にとらえられないと思ったことはないでしょうか。あるいは、「人間の行動は、性格タイプよりも、状況に大きく左右される」という説を聞き、本当にそうなのだろうかと疑問を抱いた人もいるかもしれません。

 私たちは、パーソナリティについて大きな関心を持っています。しかし、その好奇心を満たすには、○か×かのようなテストでは単純すぎますし、「環境がすべて」という説は極論のように思えます。

 まず、一般的に私たちが人のパーソナリティをどのようにとらえているかについて、考えてみましょう。