「韓国と北朝鮮を1つの国に」という理想はもう古い!?韓国人が思い描く「新しい南北統一像」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

かつて韓国では、「南北を1つの国にする」ことが民族の悲願とされてきた。しかしいま、その理想にこだわる国民は少数派だという。最新の世論調査で判明した韓国人の本音と、現実的な南北統一の形を、現地在住のジャーナリストが読み解く。※本稿は、ジャーナリストの徐 台教『分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界』(集英社クリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

下がり続ける数値が示す
統一への冷めた視線

 統一研究院は「統一意識調査」という名前で2014年から調査を続けている。最新2025年の調査は7月20日~8月14日まで、統計に基づき抽出された1000人を対象に行われた。

 同調査の特徴は、電話やネット上のアンケートではなく、回答者に直接面談する点にある。

 それだけに正確性は高まるが、一方で「統一を面と向かって批判・否定することへの後ろめたさ」というバイアスがかかる点も指摘される。それでも定点観測として欠かせない資料だ。

 統一に関する一般的な世論のほかに、その時々によって重要なテーマも尋ねる点が特徴だ。2023年は「韓国の核開発に対する世論」について、24年には「北韓の二国家論」について聞いている。

 一方の統一平和研究院の調査は、2007年から続いている。やはり対面調査で行われ、最新版の2024年では7月1日~23日まで1200人を対象に行われた。双方の調査とも、回答する項目は数十にわたるが、本記事では代表的ないくつかの質問を見ていく。

 まず、「統一の必要性」についてだ。

 統一研究院の調査では「統一が必要だ」と答えた人は49.0%だった。2014年の調査開始以降、50%を割ったのははじめてのことだ。なお2024年は52.9%だった。調査が始まった2014年には69.3%だった。