この動きをまとめた統一研究院のレポートの中で朴宙和同院研究委員は「(認識が逆転したことは)平和に共感する心が拡散する、代表的な成功事例になるはずだったが、失敗事例となってしまった」点を悔やんでいる。
南北の接触が深まることで、韓国市民の心が北朝鮮を受け入れる方向に変わっていく代表的なケースになれたはずが、「逆転」が報じられなかったことで反発の記憶だけ継承されてしまったというものだ。
南北関係について学ぶのは
年間わずか2~3時間
朴宙和はさらに「今後、政府の南北関係の政策に対する社会的な議論が起きる際、平昌の記憶はいつでも召還される点で、とても痛いものになってしまった。(中略、平昌は)2030世代に対する固定観念を強める根拠になってしまった」と位置付ける。
確かに、平昌の記憶は実際に「若者は統一に消極的だ」という話をする際のテンプレートになっている。
朴宙和は賛否の認識が変わった背景について、接触の結果としつつも「若者世代の自己検閲があったかもしれない」とも指摘する。
いずれにせよ「この(平昌の)記憶を矯正する必要がある」と朴は説く。その上で「統一に対する共感帯を増やす政策が必要で、国民が統一と平和に対して考える機会を提供することが重要だ」とまとめている。
実際に、若者は統一や南北関係を学ぶ機会がない。韓国の統一部と教育部が2021年1月に発表した資料によると、小・中・高校の教師4045人のうち、2020年の1年間で5時間以上の統一教育を行った者は22.5%にすぎなかった。1時間~2時間が40.9%、3時間~4時間が36.6%だった。
教師4427人に聞いた2024年の調査では、順に24.1%、44.6%、31.2%と大差なかった。
これは教科授業の中でのもので、自律学習の時間まで含めると多少増えるが、それでも約半分が年間2~3時間にとどまっている。さらに、それすらも動画の視聴や講義型のものにとどまっている。若者世代の無関心にはこうした理由がある。
新しい「統一」の形が
おぼろげながら見えてきた
一方、統一研究院では2021年に興味深い調査を実施している。







