「南北韓が1つの国でなくとも、国民がともに往来でき、政治経済的に協力するならばそれも統一と言えるか」という質問だ。

 これは言い換えれば「南北が何らかの過程を経て1つの国になる」という分かりやすい統一のかたち(単一制)のほかに、「今のように大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国という枠組み、もしくは『南北という区分』を維持しながら広範囲で合法的な交流をする場合(連合制)、これも統一と呼べるか」と聞く質問になる。

 回答は「まったく同意しない」「同意しない」「普通」「多少同意する」「とても同意する」の5段階で、「同意しない」側の回答を「単一制」と見なし、「同意する」側の回答を「連合制」と見なし抽出したものだ。

 結果は「連合制」の圧勝だった。

「単一制」はわずか10.7%である一方、「連合制」が63.2%と5倍以上の差がついた。実はこの設問は2020年に新設されたものだ。

 李相信によると、背景には単純に「統一」についてのみ聞く従来の調査方法に対する問題意識があった。「一概に統一といっても、考えていることは同じとは限らない」からとのことだ。

 統一研究院側はこの項目の説明に「EUのモデルを伝統的な単一制国家統一観と比較するために設定された」と明かしている。EUのモデルとは国家連合である。このように、連合制を求める認識と、単一制を求める認識の差が広がりつつある。なお、2024年の調査では「単一制」15.7%、「連合制」56.2%だった。

 他方、2022年の統一研究院の報告書では2018年から2022年にかけての結果をまとめ「群集分析」を試みている。韓国市民の統一意識を重層的に眺めるものだ。

「統一こそが韓半島の未来」と考える層は2018年の30.7%から2022年には15.8%へと減り続けており、「(南北の)共存が韓半島の未来」とする層は2018年に28.2%から2022年の41.4%へと増加した。

1つの国という理想像から
離れる時期がやってきた

 あらためてここまで見てきた調査項目を総合すると、韓国市民の大半が抱く統一像が見えてくる。