それではいったい、この場合の「統一」とは具体的に何を指すのだろうか。統一研究院でこの調査を総括してきた李相信研究委員によると、「この場合の『統一』とは南北韓が戦争をした上で、生き残った国の体制に統一されるという認識だ」という。
「武力統一のイメージなのか」と聞くと「それに近い」という返事だった。年齢が下がるに従い、混乱を起こしてまで統一すべきではない、という意識があるということだ。
続いて「統一よりも今のように分断状態で暮らすほうが良い」では同意45.8%、普通24.5%、同意しない29.8%だった(2024年)。2年前と比べ、同意が約10ポイント増加している。
2022年度版の報告書で統一研究院はこの質問に「今のように」という言葉が入っている点に注意すべきだとしている。当時の南北関係は協力よりも敵対的と見たほうがよいため、韓国の国民は「敵対的な共存が統一よりもよいという認識」であると言えるというのだ。
これは言い換えると「予測可能な現在の葛藤が、予測できない未来の平和よりもよい」となる、と報告書で整理されている。
南北合同チームの結成も
反発の記憶だけが残る結果に
先に若者世代の統一への意識が最も低いと言及した。だがこれを一面的に捉えてはならない。興味深いエピソードがある。
北朝鮮チームが韓国に訪れ開催された2018年2月の平昌冬期五輪の際に、南北が合同で女子アイスホッケーチームを結成することになった。この時、チームとしての実力は韓国側が優勢であったため、合同チームをつくることは結果として、技量に劣る北朝鮮の選手に韓国の選手が「席を奪われる」図式となった。
この話題はそうでなくとも「公正」に関して敏感な若者世代を刺激した。
当時、2月第1週の世論調査では南北合同アイスホッケーチームに対し、反対50%、賛成40%と批判的な世論が優勢だった。ここまでは日本でも報じられたので、比較的よく知られている。
だがその後、2月第4週には同じ質問に対する回答が、賛成50%、反対36%へと「逆転」していたのだ。特に反発が強かった20代を見ると2月第1週の賛成28%、反対62%が、第4週には賛成51%、反対34%と大きく逆転していた。







