たとえば下に引用した京都女子中学校の問題のような、大人でも面食らうものばかりだ。
《京都女子中学校 2004年度A日程
□の中にあてはまる数を答えなさい。
(7+7)×{7×7+(7-7÷7)}+7=□》
こんなふうだから算数の結果で合否が左右されやすくなり、感覚的には算数の配点が全体の半分を占めるほど大きく感じられる。だから算数の占める割合は「5割」なのだ。しかもその“割合”は、近年ウナギ上りに上昇している。
たとえば本来の4科目(国、算、社、理)の学力を見る試験以外に「算数1科目入試」の枠を設けて、算数さえできれば「合格」をくれる私立中学が1990年代からどんどん増えている。いうまでもないが、もし1科目入試を選んだら、中学受験で算数が占める割合は「10割」だ。
算数で高得点を取れる子は
他教科の成績もいい
なぜこんな“算数偏重”の入試になりつつあるかというと、理由は2つある。
まず、算数の成績がいい子は、たいてい他教科の成績もいいというのが、教育界では一般的な認識になってきたからだ。算数ができる子は論理的思考に長けているが、その思考法は他教科にも応用が利く。だから他の科目もできる、というわけだ。
そしてもうひとつの理由は、中学の先に控えている高校入試、大学入試が、その論理的思考を問う方向へと大きく変化してきたからだ。
少し話が逸れるようだが、ここで東京大学が二次試験で出題した問題を見てみよう。1993年度の試験では、次の文章の太字部分を英語に訳せという問題が出題された。
《不平ばかり言うのは、いいかげんにやめてくれ。僕だって、やりたくてやっているんじゃないんだ。》
語彙という「知識」と、構文パターンという「応用」が頭にあれば解けそうだが、やがてこのような問題は影をひそめるようになり、2004年度には次のような問いが出題された。
《もし、あなたが自宅から電車で片道2時間の距離にある大学に通うことになったとしたら、あなたは自宅から通学しますか、それともアパートなどを借りて一人暮らしをしますか。いくつかの理由を挙げ、50語程度の英語で答えなさい。》







