こんなふうに、まず算数検定、そして思考力検定、さらに上に算数オリンピックという目標を設定し、適した教材を用意して確実に力をつけながら、勝率の高いチャレンジができる「仕組み」を設けているわけだ。

賞状が自己肯定感と
達成感を満たしてくれる

 なぜ検定試験にチャレンジするといいかというと、合格すると合格証がもらえるからだ。

 たとえば、算数検定の合格証は「賞状」と呼んだほうがいいくらい立派なものだが、これはどんな「ほめ言葉」よりも子どもの心を刺激する。自宅の壁にでも貼れば自己肯定感が伸びるのは間違いない。

 そして〈やった!〉という達成感とともに、〈もう1枚欲しい〉という気持ちもわいてくる。だから子どもは、さらに上の級を目指して勉強を進める。そしてまた合格し、もっと上の級に進みたくなるのでまた勉強する。このような好循環が生まれやすい。

 もちろん、運悪く不合格になることもある。しかし傷は浅い。むしろファイトがわいてくる。実際、僕は不合格になった子が「もう1回がんばる」「また受けたい」と、かえって前向きになるのを塾で何度も見てきた。

 翌月になるか、あるいは2カ月も待てばまた検定試験がある。頻繁に受けられるしフィードバックも速やかだから、気持ちの切り替えは簡単だ。再チャレンジしてもいいし、一度お休みして英気を養ったっていい。自由に選択できるから気楽だ。

 合格すると達成感がやる気につながり、不合格だと悔しさがやる気につながる。〈勉強させたい〉と思っている大人にしてみれば、検定試験は「どう転んでも失敗のないチャレンジ」なのである。

 もちろん試験というものに慣れることができるのもメリットだ。デメリットと言えば、検定料くらいだろう。

 また、算数に限っていえば、検定合格を目指して学ぶことはそのまま「授業の予習」「学校のテストへの対策」さらには「入試対策」にもなっている。

 だから僕は「検定合格は、合格の練習だ」と塾の生徒や保護者に言ったりするが、そういう意味でも一石二鳥、三鳥なのである。

入試を目標にしていては
勉強のモチベは上がらない

 なぜ僕が検定試験にこだわるかというと、確かな「目標」を子どもたちにつくってあげたいからだ。