学生時代、次の定期試験や、入試で合格することを目標に勉強した、という読者は多いだろう。
だが、学校のテストや中学受験は、目標としてはあまりにも大きくて重すぎる。下手をするとその1回のテストで成績や進路が決まる「大勝負」で、多くの場合、取り返しもつかないから、失敗したときのダメージは大きい。
定期試験(中間テスト、期末テスト)は年5~6回だけだし、入試に至っては受けられる機会がそれよりも少ない。出題範囲も広く、どのくらいの難易度になるかもはっきりしない。本番までの長い長い期間、どんな問題が出るかも、いい成績をとれるかどうかもわからない不安を抱えて、子どもたちは勉強することになる。
入試の場合は模試があるから、ときどき積み上げた成果を見ることができる。しかし成績がよくても賞状がもらえるわけではないし、出るのは合否の「予測」にすぎないから、手ごたえはどこか、あやふやだ。だから途中で目標を見失い、勉強に身が入らなくなる子も出てくる。
とはいえ定期試験や入試があれば、まだ「まし」と言えなくもない。小学校低学年のあいだのテストはそれほど難しくないし(僕の経験上、平均がおおむね70点くらいになるように配慮されていることが多い)、100点をとっても賞状なんてもらえない。「空白地帯」になりやすいのだ。
目標も見返りもなければ、子どもが自ら勉強しなかったとしても、致し方ないことだと思う。
算数の魅力に取り憑かれた子は
受験が終わっても学びを止めない
『本物の算数力の育て方 子どもが熱中する「りんご塾」の教育法』(田邉 亨、講談社)
しかし検定試験を使えば、その「空白地帯」に簡単に目標を打ち立てることができる。そして、その気になりさえすれば、すぐにでも・誰にでも始められる。
漢字検定、英語検定、珠算検定など、やり方しだいで幼児や小学生でもチャレンジできる検定試験が世のなかにはたくさんあるし、取得した資格が高校・大学の入試や、さらに就職試験のときに活かせる場合もある。
そのなかでも僕の“推し”はやはり算数だが、なぜかというと上限がないからだ。算数検定、思考力検定をすべてクリアしても算数オリンピックがあるし、さらにその上もある。
算数オリンピックで金メダルを獲得し、中学受験も終えたある生徒は、合格通知が届いた後も熱心に「りんご塾」に通っていた。別に来なくてもいいのに、何をするのかと思っていたら、持参した数学検定のテキストを開いて高校数学の問題に取り組んでいた。







