10年国債金利急騰、17年半ぶり1.835%
為替レートは1ドル157円台に円安加速
総合経済対策の内容がほぼ固まった、閣議決定前日の11月20日、新発10年物国債利回りは、一時1.835%に上昇(債券価格は下落)。2008年6月以来およそ17年半ぶり高水準を記録した。
対ドルの円相場は20日、一時1ドル=157円90銭近辺と、1月中旬以来の円安・ドル高水準となった。高市政権発足前日の10月20日からの1カ月で、約7円下落した。
海外投機筋が、円売りと日本国債売りを仕掛けている可能性がある。円安基調のため、日本に対する投資には慎重にならざるを得ないのだ。
円安と長期金利の上昇は、高市首相が就任して以来、続いている。
まず、10年国債の利回りは、25年8月下旬には1.6%程度だった(図表1)。
ところが、10月4日に高市氏が自民党総裁に選出され、21日に首相に指名されると、急上昇に転じ、一時は1.8%を超えるに至った(この部分は図表1の範囲外になっている)。
これは、高市氏が積極財政を行い、財政赤字が急拡大するだろうとの予想に基づくものだ。長期金利の上昇は、国債の利払い費を増加させ、新規国債発行増につながる。それによって将来の国債の利払い費がさらに増える。
為替レートは、おおまかに見れば、年初は円安だったのが、春から夏にかけて円高が進み、秋から再び円安になるという動きを示している(図表2)。
いま少し詳しく見ると、25年初めのドル円レートは1ドル≒150円台だった。その後、円高が進み、4月には140円台となったが、その後、再び円安が進んだ。9月終わりから円安のピッチが急激になり、11月中旬に155円を超える水準の円安となった。11月20日時点では、1ドル=157円台となっている(この部分は図表2の範囲外となっている)。
債券価格下落に嫌気!?株価も下落
「高市トレード」の期待から警戒感に
日経平均株価は、8月下旬には4万2000円程度だったが、高市氏が自民党総裁に選出された翌週の10月6日に、4万8000円近くまで急騰した(図表3)。
これが「高市トレード」と呼ばれたものだ。その後、10月27日には終値で5万円台となり、31日には5万2411円の史上最高値となったが、11月になってからは一時、5万円を割るなど、上昇の勢いは弱まり下落基調に転じている。12月1日も前日から下がり終値は4万9000円台だった。
株式市場は、高市政権の発足当時には、成長重視の積極財政・金融緩和路線を積極的に受け止めていたのだが、債券市場での反応を見て、高市政策に疑問を持つ考えが出てきたのだ。
11月になってからは、株安・債券安(長期金利上昇)・円安の「トリプル安」が進んでおり、積極財政と金融緩和という政策運営に期待した「高市トレード」から、市場はいまや警戒を強める展開になっているのだ。










