いま、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃のお金の戦術書」と絶賛されているのが、ニック・マジューリ著『JUST KEEP BUYING』だ。そしてついに全世界待望のお金の戦略書『THE WEALTH LADDER 富の階段』が日本上陸。今回はスコット・ギャロウェイも絶賛する最新刊について、一橋大学特任教授の楠木建氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
Photo: Adobe Stock
富の階段「レベル4」で大切なこと
本書では6つの資産レベルに対応した「富の階段(ウェルス・ラダー)」を紹介しているが、「ジャスト・キープ・バイイング戦略」が有効なのはレベル4(資産100万ドル以上~1000万ドル未満)までだと著者は言う。
レベル4に到達するのは容易ではない。
しかし、その戦略は単純だ。
支出を上回る充分な収入を得ることと、投資を続けることだ。
どうすれば「レベル5」に行けるか?
賢く投資をするのはレベル4で資産を増やすのには役立つが、レベル5(資産1000万ドル以上~1億ドル未満)以上には到達しにくい。
仕事で得た収入を投資するだけでこのレベルに到達するのは、たとえ職業的に非常に成功し、長時間努力したとしても難しい。
特別な高給取りの有名人(俳優やミュージシャン、スポーツ選手等)でない限り、仕事だけでレベル5に到達するのはまず不可能だろう。
「ジャスト・キープ・バイイング」とは質的に異なった戦略が必要になる。
どうすればレベル5の階段を登れるのか。
ここでの富の源泉は株式に集約される。
すなわち、「資本家」になるということだ。
そのためは自分で事業を立ち上げるか、株主として参加するしかない。
かつそのビジネスは数百万ドル以上で売却されるか、多額の年間収入を生み出すものでなければならない。
イーロンマスクの起業に関する考え方
しかし、この戦略は僕を含めてほとんどの人には向いていない。
本書はイーロンマスクの発言を引用している。
「自分でビジネスを始めるのは、ガラスを噛み砕きながら奈落の底を見つめるようなものだ」
またマスクは「起業を目指す人たちにかける励ましの言葉は?」と尋ねられ、「励まされたいなら、起業するな」と答えている。
大成功を収めた人たちは起業についてだいたい似たようなことを言っている。
エヌビディアCEOの衝撃の発言
エヌビディアCEOのジェンスン・ファンは「もしもう一度30歳に戻ったら、どんな会社をつくりたいか」と聞かれ、こう答えている。
「起業はしないだろうね。その理由は、前にも言ったように、それがとてつもなく難しいからさ。会社を立ち上げ、エヌビディアを築き上げることは、自分が予想していたより何百倍も大変だったんだ。
当時、もし僕たちが、これからどれほどの痛みや苦しみ、無力感を味わうことになり、どんな困難に耐えなければならないのかを理解していたら、誰も会社を立ち上げようとはしなかっただろう。まともな人間ならそんなことはしない。」
そもそもレベル5は定義からしてハードルが高い。
ほとんどの人には無縁の世界だ。
著者が言うように、「ジャスト・キープ・バイイング戦略」はレベル4までの人のためで、万能ではない。
しかし、それでも実質的にはこれで十分事足りるというのが本当のところだろう。
(本稿は、『THE WEALTH LADDER 富の階段』に関する完全書き下ろしです。)



