渡航前から思い知らされた「デジタル鎖国」
実は、行く前の準備から大変でした。筆者は欧米を中心に海外には何度も渡航していますが、中国は20年ぶり。中国のインターネット環境がいかに特殊か、思い知ることになりました。
まず、大学から「授業で使う教材は全てパソコンにダウンロードしておくように」と言われました。通常、教材はオンラインに上がっていて、ネットにつないで必要なところを読めばいいだけです。それが、そもそもできません。なぜなら日米欧では当たり前のウェブサービスが、中国内では使えないものが多いからです。
そこで、VPN(Virtual Private Network、仮想専用通信問)の設定も済ませておきました。公共Wi-Fi利用時の情報漏えい防止や、安全な接続に役立ちます。このVPNを使えば、中国国内で使えないウェブサービスを使うことができます。
例えば、中国のホテルでWi-Fiに接続すると、Yahoo!Japanのトップ画面は見ることができても検索はできません。Goggle検索もできません。今や日常生活に欠かせないLINEや、X(旧Twitter)、Facebook、Instagramも使うことができません。私は最近、調べ物にはもっぱらClaude.aiというAI(人工知能)サービスを使っているのですが、それも使えませんでした。
スマホには、VPN付きのe-SIMを購入して設定していきました。e-SIMなら、物理的なSIMカードを差し替えなくても、通信キャリアの契約情報を端末内で書き換えて利用できます。これで中国内でも、今使っているサービスを使えると思って飛行機に乗りました。
ところが着いてから合流したクラスメイトに「中国で生活するなら中国のアプリをスマホに入れないと」と進言されます。中国でライドシェアのアプリを使うにはUberではなくDiDi(滴滴出行)が主流。PayPayは使えずWechatPayかAlipayを入れる必要がありました。
上海ではGoogleマップも不正確です。どのような仕掛けでそうなっているのか不明ですが、常に数十メートルから100メートルぐらいズレています。中国製のマップアプリでないと目的地にたどり着けません。







