エヌビディアの高い利益率、グーグルとAMDには好機Photo:Anadolu/gettyimages

 人工知能(AI)革命は、米半導体大手エヌビディアにとって、他に例のない、質の高い問題を生み出した。それは同社がもうけ過ぎだということだ。

 膨張するAI投資の持続可能性を投資家が懸念し始める中、エヌビディアはここ1カ月間、厳しい視線にさらされてきた。しかし先週、別の懸念も浮上した。報道によれば、グーグルは自社のコンピューティング需要のために社内で開発した「テンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)」と呼ばれる半導体を販売し、AI半導体市場への参入を目指している。

 エヌビディアの株価は今週いくらか持ち直しているが、10月下旬につけた時価総額5兆ドル(約780兆円)のピーク以降、12%下げている。ナスダック総合指数は同じ期間に約2%下落した。

 時価総額が世界一の企業であるエヌビディアの株は、最近の下落によって割安に見えるようになった。ファクトセットのデータによると、エヌビディアの今後4四半期の予想PER(株価収益率)は現在26倍前後で、過去5年間の最低水準に近い。だが、この倍率の基になっている今後1年の予想利益は、競争激化でエヌビディアが自社製品の値下げを余儀なくされれば、圧迫される可能性がある。

 利益が目減りしても、エヌビディアは他の大半の半導体企業よりも収益性が高い状態が保てるとみられる。しかし、もうけの大きいAI半導体市場でエヌビディアが依然として圧倒的なリードを保っているとしても、同社株は見かけほど買い得にはならないだろう。

 では、どのくらいもうかるのか。エヌビディアは過去4四半期で1100億ドル強の営業利益を計上した。これは売上高1ドル当たり約0.59ドルの営業利益に相当し、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによれば、他のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)構成企業の同時期の営業利益率をはるかに上回る。実際にエヌビディアの半導体の大半を製造している台湾積体電路製造(TSMC)の同時期の営業利益率は50%弱となっている。SOX指数構成企業の平均は25%前後だ。