「裏切られた」と嘆く人は自業自得? 人を100%信じることの恐ろしい代償
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【精神科医が教える】「いい人だと思っていたのに…」人間関係で失敗する人が無意識にやっているNG習慣Photo: Adobe Stock

この人はいい人なのかな?

今日は「人の見抜き方」についてお話しします。

「この人はいい人なのかな?」「信頼できる人なのかな?」と迷うことは誰にでもあると思います。私自身も「こういう人だと思っていたのに違った」という経験はありますし、相手の本質を見抜きたいと思うのは自然なことです。

今回は、そんな人間関係における「見抜き方」や「信頼のあり方」について、私の考えをお伝えします。

完璧に見抜く方法は存在しない

結論から申し上げますと、相手を絶対的に見抜く方法は存在しません。

もちろん、ある程度の目安はあります。私の中では「誠実さ」が一つの基準です。「言ったことは守ろうとする」「できないことは言わない」といった、言動の一致を見れば、ある程度はその人を測ることができます。

しかし、人間にはいろいろな面があります。すべての面を他人に見せているわけではありませんし、誰にとっても「完璧にいい人」というのもあり得ません。ある人から見れば「人格者」でも、立場が違う人から見れば「裏切り者」に見えることもあります。

つまり、「誰に対しても、どんな時でも100%信頼できる人」というのは存在しないのです。

「100%信用しない」は大人のマナー

では、どうすればいいのでしょうか。大切なのは、「100%は信用しない」という姿勢です。

こう言うと「寂しい」「人を悪く見すぎではないか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これは冷たいことではなく、人間関係におけるマナーであり、自立した大人の考え方だと私は思っています。

相手を100%信用するということは、裏を返せば「あなたは絶対にいい人でいてくださいね」という期待や理想を押し付けていることにもなります。また、自分の身を守るための思考や判断を放棄しているとも言えます。

過度な期待が裏切りに感じる

もし裏切られたと感じてトラブルになるなら、それは「ずっといい人だと思っていた」という過度な期待があったからです。

目安としては、「7割、良くても8割くらいの信頼」で留めておくのがちょうど良いバランスです。「今は信頼できそうだけど、見えていない部分もある」と認識しておくことが大切です。

立場や環境で人の心は変わるもの

人の心は変わります。それは良い悪いではなく、立場や環境が変われば関係性も変わるのが自然だからです。

わかりやすい例として、開業医の話をしましょう。自分が開業する際、かつての職場で仲の良かったスタッフを引き抜いて雇うケースがあります。同僚だった頃は「この人なら信頼できる」と思っていた相手でも、いざ「雇用主」と「従業員」という関係になると、うまくいかないことが多いのです。

雇用主:給料には限界があるけれど、たくさん働いてほしい
従業員:頑張りに見合った高い給料と評価がほしい

このように利害が対立し、立場が逆転してしまうと、かつてのように本音を言い合えなくなり、関係がギクシャクしてしまいます。これはどちらかの人間性が悪いわけではなく、単に「立場が変わっただけ」なのです。

「期待」をして関係を始めると、その期待が外れた時に人間関係は壊れやすくなります。

その人をありのままに見る

人間を見抜くコツ、それは「人そのもの全体(未来永劫の人格)を見抜こうとしないこと」です。過去や未来に囚われず、「今」の相手をありのままに見る視点を持ってください。

「今はいい人だな」「今はいい関係性だな」と観察し、理解する。そして、「これはずっと続くものではないかもしれない」とわきまえた上でお付き合いをする。

その結果として、良い関係が1年、2年、10年と続いたなら、それはとても素晴らしいことです。それは「絶対的な信頼」があったからではなく、「毎回の『今はいい人だな』という積み重ねが続いてきた」という結果に過ぎません。

過度な期待をせず、今の関係性を大切にする。これが、人間関係を円滑にする一番のポイントだと思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。