残業しないで済むなら、そりゃしない方が良いですよ。趣味やイベントがあれば残業したくないだろうし、僕だって好きなバンドのライブがあったら「今日は仕事終わり!」って決める日もある。
結局、残業するかしないかって労働が楽しいか否かの問題な気がします。僕含め周りはウキウキしながら、かなりの時間働いているし。
最近の残業キャンセルの風潮は、超売り手市場になった現代の人材が、日本の独特な終身雇用カルチャーに乗っかっている印象も受けます。
日本には、人材をゆっくり育成する企業文化がある。けれど少子高齢化・人口減少で企業は人手不足に陥り、コストをかけて人材育成をするのが難しくなっている。だからこそ、「必要な時にリストラできる仕組み」と「育てる文化」の両方がバランスよく必要だと思うんです。
Photo:DIAMOND
自己実現したい「働きたい派」と
合理性重視の「働きたくない派」
僕が思うに人間って、自分の中に明確な欲求が育っていないと、「これがしたい」よりも「これはしたくない」が勝つようになるんですよね。主体的な「やりたい」がないと、働くなんてただの苦行になってしまう。
「今は何でも手に入るから、欲や枯渇感が育ちにくい」といった若者批判もあります。でも、それは若いとか、年代だけの問題じゃない気がする。
例えば僕は、枯渇感はあまりないけれど、自己実現欲求はめちゃくちゃ強いほうです。いい意味で、かなり「欲深い」人間だと思う。それは生まれ育った家庭環境や、幼少期に体が弱かったことも関係しているのかもしれません。
これからの時代、欲があって自己実現したいタイプの「働きたい派」と、働くのは最低限でいいと考える合理性重視の「働きたくない派」、この二極化がもっと進むと思います。どっちが良い・悪いではなくて、価値観が完全に分かれていくんでしょうね。
僕自身は、経営者として「欲のある人が集まる」組織づくりに本腰を入れなくちゃと強く感じています。デジタル化はもちろん、給料も福利厚生も整えることで、「働きたい人が働きたいだけ働ける」環境を作りたいですね。
きしたに・らんまる/「MMBH留学」代表。実業家・インフルエンサー。2001年7月7日生まれ、東京都出身。幼い頃に小児リウマチを発症しながらも治療を経て回復。中学受験を経て入学した早稲田実業学校中等部卒業後、渡米してニューヨークの高校へ進学。1年で単位を修了してプリンストンの高校に編入。大学受験では米・フォーダム大学に合格するも、浪人をすることを決意。翌年イタリア・ボッコーニ大学に進学。2021年に「柚木蘭丸」としてSNS活動を開始し、2024年に俳優・岸谷五朗、ミュージシャン・岸谷香の長男であることを公表。本名での活動に切り替え、TBS『Nスタ』や『ABEMA Prime』などでコメンテーターを務める。2023年には友人とともに海外大学受験支援サービス「MMBH留学」を設立し、英語指導や出願支援を展開、教育事業にも注力している。 Photo by Shogo Murakami







