【税務署が監視】“知らなかった”では済まない「放置厳禁の怖い手紙」とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

【税務署が監視】“知らなかった”では済まない「放置厳禁の怖い手紙」とは?Photo: Adobe Stock

「放置厳禁の怖い手紙」とは?

 相続が発生してから半年ほど経過した頃に、税務署から「相続税についてのお知らせ」、もしくは「相続税の申告等についての御案内」という手紙が届くことがあります。

 これらの手紙は、相続が起きた全世帯に発送しているものではなく、全国の国税局と税務署をネットワークで結んだ巨大なデータベース、KSK(国税総合管理システム)により、「この世帯には相続税がかかりそうだな」と判断されている世帯に発送されます。

 つまり、この手紙が届くということは、税務署から既にマークされていることを意味します。

2つの手紙の違いは?

 手紙には2種類ありますが、「相続税の申告等についての御案内」のほうが、より重点的にマークされていることを意味します。下図を見てください。

【税務署が監視】“知らなかった”では済まない「放置厳禁の怖い手紙」とは?出典:『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』

 こちらの手紙には、「相続税の申告要否検討表」という書類が同封されています。この書類に遺産の詳細を記入することで、相続税の申告が必要かどうかを判定し、その結果を税務署へ提出するのです。

 この書類の提出は義務ではありません。申告書を提出する予定の方は、提出しなくても問題ありませんが、提出しない方は、申告義務がないことを伝えるためにも、この書類を積極的に提出しましょう。

 近年、税務署は申告書を一切提出しなかった無申告者への税務調査を積極的に行っています。調査官は「不慣れだったため計算を間違えてしまった人」などには割と寛容ですが、「意図的に遺産を隠すような悪意のある人」へは非常に厳しい対応をとります。誠実な態度を示すことが、税務署を遠ざける一番の薬になります。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・編集を行ったものです)