『メンバーに嫌われる「無能なリーダー」が言いがちなこと』
それを教えてくれるのが、400以上のチームを見て「人と協力するのがうまい人の特徴」をまとめた書籍『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)だ。「チームの空気が変わった」「メンバーとの関係性が良くなった」と話題の一冊から、その考え方について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

メンバーに嫌われる「無能なリーダー」が言いがちなこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

「成果、成果……」と言う人ほど、実はチームを弱らせる

 職場には、ことあるごとに「で、成果は?」「数字で示せるの?」と口にする人がいます。

 一見正しいように見えますが、実はこれ、嫌われるリーダーの典型的な口ぐせです。

 新しい挑戦や共創の取り組みは、そもそも時間がかかるもの。

 にもかかわらず“目先の成果だけ”で判断すると、チームやメンバーの成長の芽を潰してしまいます。

『チームプレーの天才』という本にも、短期成果への偏りを戒める一文があります。

新たな取り組みであればこそ、周りも自分たち自身も意義や価値を見失いがち。崇高なビジョンや、キラキラとしたゴールだけではメンバーや関係者を動機づけしきれないでしょう。
――チームプレーの天才』(326ページ)より

 成果が数字として出ないと不安になるのは自然です。

 しかしそれを押し付けたところで、モチベーションを高められる人はわずかなのです。

チームを引っ張るリーダーが「語る言葉」

 チームのメンバーに信頼され、協力して大きな成果を出せる人は、まったく別のことを語ります。

 それは、「変化を語る」ということ。

『チームプレーの天才』では、チームのモチベーションを高める手段として、こう提案されています。

変化の価値に気づき、その価値をチームの中や外に伝えて実感と共感に変えていく。そのために、まずは変化を観察して、率先して言葉にするように心がけてみてください。
――チームプレーの天才』(333ページ)より

 成果は数字で測れます。

 しかし変化は目に見えない。

 だからこそ、それを捉え、言葉にできる人がチームの未来をつくります。

「嬉しい変化」を、シンプルに語ろう

 新しい挑戦をしても、すぐ成果が出るとは限りません。

 しかし、必ず“兆し”は生まれます。

 その兆しを見つけるヒントとして、『チームプレーの天才』ではこのように提案されています。

そのヒントの一つになるのが、「快感体験」の言語化です。楽しかった、嬉しかった、面白かったなどの感情をシンプルに語るのです。
――チームプレーの天才』(333ページ)より

 たとえばチームで新しい取り組みを始めたとき、

 ・顧客が笑顔になった
 ・メンバーの反応が少し変わった
 ・会議の空気が前向きになった

 こうした変化は数字には表れなくても、将来の成果の“最初の芽”です。

「これ、ちょっと手応えありますね」
「今の反応、良くなってない?」
「このやり方、意外とイケるかも」

 このような日々の小さな変化を“言える化”することが、チームの空気を変え、挑戦を続ける力を与えます。

 あなたがもし、チームで信頼され、次のステージへ進みたいなら、今日から小さな変化に名前を付けてみてください。

 それがあなたの評価を変え、チームの未来を変える最初の一歩になります。

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の発売を記念したオリジナル記事です)