石油元売り各社は燃料油事業の構造改革と新たな収益源の確保に迫られている。新たなトップの下、出光興産はどんな手を打つのか。

出光興産社長 月岡 隆(6月27日就任予定) <br />国内では“身の丈”に徹し<br />利益の半分を海外で稼ぐPhoto by Toshiaki Usami

──国内における燃料油の精製販売を中心とした基盤事業がいまだ7割を占める。事業ポートフォリオの転換をどのように図りますか。

 石油開発などの資源事業や、潤滑油や電子材料、アグリバイオなどの高機能材料事業を伸ばす必要があります。

 潤滑油は出光の得意分野で一日の長があるが、電子材料とアグリバイオについては想定していた需要が起きず、自立へは道半ば。解決に向けて一つずつ手を打ってきたが、スピード感に欠けていました。今後は自前主義を捨て、M&Aも積極的に活用します。

 3年間で基盤事業40%、資源事業35%、高機能材料事業25%の割合に変えていくことが、経営の第1目標です。

──燃料油販売の過当競争が収まる気配がありません。元売りがすべきことは。

 簡単です。皆、需要に見合った分だけ作って、身の丈に合った販売をする。そうすれば適正な利益が確保できるはずだけど、それができていない。各元売りの自覚が問われています。

 当社はショートポジションを取っています。販売量よりも生産量を少なくし、残りは他社と連携することで、少なくても自己調整を果たしているつもりだし、身の丈に合った生産だと自負しています。