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東日本大震災で被災した後、長期停止を続けていたコスモ石油の千葉製油所が、ようやく本格的に再稼働できる運びとなってきた。
行政側は「手続きはクリアしている」(市原市消防局)、「保安検査証を順次出し始めた」(千葉県保安対策課)としており、コスモ石油側も「1月中に再稼働できる準備が整いつつある」と、予定より少しは遅れるものの作業にめどが付いたことを明らかにしている。
震災から、まもなく2年。コスモ石油はその間、再稼働問題をめぐって常に後手に回ってきた。
昨年3月に一度、部分的な再稼働を実施したが、6月にはタンク検査の不備などにより、アスファルトの一部が東京湾内に流出したことですぐに停止。さらに8月には市原市消防局が1カ月にわたり、タンクや消火栓など約360カ所について立ち入り検査を実施し、801項目にわたる不備を指摘した。コスモ石油側は11月に報告書を提出し、改修に応じる状況となっている。
問題は業績にも直結し、2013年3月期の最終損益は、事故に伴う特別損失計上や繰り延べ税金資産の取り崩しのため、740億円の赤字と、大幅に下方修正した。赤字計上による純資産の目減りで、昨年9月には協調融資(シンジケートローン)2本計560億円が財務制限条項に抵触する事態にまで陥った。年間配当は発足以来、初の無配になる。
このため、千葉製油所の再稼働への期待は大きい。伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤敏憲アナリストは「減益要因が大きく減るので、業績改善への効果は大きい」と指摘する。
コスモ石油は2基ある常圧蒸留装置(トッパー)のうち第2トッパー(石油精製能力日量12万バレル)を先行稼働させ、第1トッパー(同10万バレル)は今年4月に再開。7月に全面再稼働の見込みだ。