買うのは「オルカン」か
「バランス型」でOK!
その2階部分で投資する商品は、子どもが18歳になるまでの長期運用であることから、「特定の資産に集中せず、リスクを抑える方向が良い」という。具体的にはインデックス投信の全世界株式型(オルカン)投資信託や、株式と債券などを組み合わせたバランス型投資信託などが現実的な選択肢となる。リスクを下げた運用をしたいなら、バランス型でも、株式の比率が低い投資信託を選ぼう。
ただし、「子どもNISAができたから」とか「子どもために」とかで、無理して投資額を増やすのは厳禁。「今の生活を犠牲にしてまで無理に子どもNISAに満額積み立てるのは本末転倒。今がきちっと回っているからこそ、将来に備えられる」(深野さん)という基本的な考えを忘れてはいけない。
子どもNISAをきっかけに投資に興味を持つのは良いが、「人生プランと収支の計画」を立て、「どれくらいリスクが取れるか」を考えて、それらに応じて「投資額を決める」という順序が基本だ。
教育資金の一括贈与は廃止され
「祖父母の資金で投資」が加速へ
特に地方銀行など対面販売がメインの金融機関で、「お孫さんのために」と高齢者へのセールストークに子どもNISAが使われるシーンが想定される。(写真は本文と直接関係ありません)
子どもNISAは、祖父母が孫に資金提供する際の「器」としても注目される。深野さんも「親よりも祖父母が積極的になる家庭もありそうだ」とみる。特にポイントとなるのが、今回の税制改正で最大1500万円まで非課税で子や孫に贈与できた、「教育資金の一括贈与の非課税制度」が廃止される予定(2026年3月までの時限措置の特例であったが、その延長がされない見込み)なこと。
この贈与の非課税の特例がなくなる代替手段として、孫へ贈与して子どもNISAで積み立てる戦略が広まる可能性がある。金融機関が「お孫さんのために」と、営業ツールに活用するシーンも予想される。
子どもNISAは、相続税の節税としては教育資金の一括贈与ほどの即効性のある効果はない。だが、引き出しに制限があり無駄遣いを防止できること、長期では贈与したお金が大きく増える可能性があることなどから、祖父母から見ても魅力がある制度だ。
親の準備と知識が子どもの
「余裕人生」か「苦労人生」の分かれ目に!
廃止された旧ジュニアNISAは「18歳になるまで引き出しができない」「仕組みが複雑」とい使い勝手の悪さために普及しなかった。新しい制度では、これらの問題が解消され、よりシンプルな設計になることが期待される。
ただ、子どもNISAの利用が広まることで、親の所得と金融リテラシーによって、子どもの経済的格差が拡大するのは避けられないだろう。
計画的に積立をしてもらった子どもは成人した時には口座にまとまった財産を形成してもらっている。一方で余裕のない家庭の子は、奨学金で大学に進学し、社会に出た瞬間から返済に数十年かかる借金を背負っている―。そんな格差がつく未来だ。
※内容は2025年12月8日時点の情報を元に構成。記事内の税制改正の内容は変更される可能性もある。







