もともとエンタメだったものを、エンタメでない「真剣」(シリアス)な目的のために作ったゲームということです。

勉強や仕事にゲーム性を取り入れる
「ゲーミフィケーション」

 ところで、似たようなコンセプトに、「ゲーミフィケーション」というものがあります。このところ教育やビジネスの現場で耳にしたことがあるという読者の方も多いかもしれません。

 考え方はシンプルで、授業や仕事にゲームのエッセンスを取り入れて、生徒や従業員の学ぶ気持ちをアップさせること。

 最近流行りのコンセプトではありますが、考えてみれば、昔からさまざまな形でゲーミフィケーションのエッセンスが教育やビジネスには取り入れられてきています。

 たとえば、私が小学校のころ(もううん十年前です)「漢字券」というのがありました。

 漢字1行練習したら1ポイント。自分の漢字練習の分だけ「漢字券」がもらえて、300ポイントたまると週末に先生の家に行って遊ぶことができる!先生のところで遊ぶのがとても楽しかったので、みんな躍起になって漢字練習をしていました。

 そのころから数十年が経ち、スマホやタブレット、ギガ端末など、テクノロジーの発達でより手軽に、ゲーム性を帯びた教育法やビジネス習慣が導入できるようになりました。

「漢字券」のようなポイント制はもちろんのこと、レベルやステータスを表すバッジなどが、学校や仕事場で活用されて効果を上げています(注5)。

フライトシミュレーションは
シリアス・ゲームから始まった

 本記事で取り上げるシリアス・ゲームは、ここでいうゲーミフィケーションとは異なる考え方であることに注意しておきましょう。

 ゲーミフィケーションにより授業や仕事にゲームのエッセンスを取り入れるのではなく、ゲーム自体で授業や仕事の目的を達成しようというのがシリアス・ゲームです。

 たとえば、飛行機のパイロットの操縦トレーニングに、フライトシミュレーションのゲームが使われています。その先駆けとなったシリアス・ゲームは80年代にマイクロソフトが開発したものです。

(注5)Subhash S, Cudney EA (2018) “Gamified Learning in Higher Education: A Systematic Review of the Literature.” Computers in Human Behavior, 87:192-206.