「割安株」に飛びつく人はカモになる…投資のプロは「数字の裏」で何を見る?
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックスの元トレーダーが教える】なぜあなたの持ち株は上がらないのか?「万年割安株」をつかむ人の残念な特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

投資の正解は「単純な公式」の外にある

私は株式投資に長年携わってきましたが、知れば知るほど奥深いものがあります。

勝率を上げるには、単にPER(株価収益率)を見て割安な株を買えばいいわけではなく、上昇トレンドに乗ってみんなが注目している株を買えばいいというわけでもありません。

「スクリーニングで抽出」だけでは勝てない理由

投資のスタイルの1つである、企業価値に比べて株価が割安とみる銘柄を買う「バリュー株投資」を例に考えてみましょう。

ネット証券のスクリーニング機能を使うと、誰でもPERやPBR(株価純資産倍率)の観点から割安株をリストアップできます。ただ、リストアップされた銘柄がただちに買うべきリストにはならないのです。

歪みが修正される時
バリュー投資が報われるメカニズム

一般に企業が「収益」を積み上げていけば、「純資産」は増えていきます。純資産が増えているのに株価が上がらないのは一時的な現象であり、理屈からするといずれ必然的に株価は上がります。

株価が割安なときに買い、上がるまで待っていれば、リターンを得られるというのがバリュー株投資の理屈です。

「10年の不調」も覚悟せよ
歴史が示す不都合な真実

ただし、“単純な”バリュー株投資が必ずしも成功するわけではないことも歴史が証明しており、5年から10年単位で不調が続くこともあります。

バリュー株投資が本当に儲かるといえるのか、たまたまなのか、株式投資の歴史はまだ300年に満たないので、十分な時間軸で証明できる話ではないのです。