木陰が続く坂を上っていくと、蛇骨橋が見えてくる。ここは橋梁を走る電車の絶好の撮影スポットになっている。蛇骨橋の急カーブを越えてさらに上り、小涌谷の踏切で10.5キロメートル、すぐに小涌谷駅が見えてくる。
ようやく半分が終わり、選手はどんな思いでここを通っていくのだろうか。
箱根ホテル小涌園(11.7キロメートル地点)を左手に見てカーブすると、そこから最高地点(16.2キロメートル地点)までが、勝負の4.5キロといわれている。
小涌園から箱根恵明学園までが12.9キロメートルだ。
この周辺は何もなく、箱根駅伝当日も人があまりいない。
暗い道のカーブを越えて、そろそろ坂の終わりが見えてくるのかなと思いきや、まったく見えてこないのだ。
そのたびに、「まだか、まだか」と思い、心のエネルギーが削られていく感じだ。存在するのは自分と坂だけ。否応なく自分と向き合うことになり、体力、集中力、メンタルが試される。
上りで遅れた選手が
逆転するラストチャンス
恵明学園を越えて上がっていくと、左手に湯坂路(鎌倉古道)の入口が見えてくる。
ここから箱根湯本まで続くハイキングコースで、鎌倉時代、征夷大将軍の源頼朝が箱根権現への参詣道として通った路だ。
ここを越えて約800メートルほど上れば、芦之湯(15.8キロメートル地点)だ。芦之湯は、鎌倉時代から湯治場となるなど、古くから知られていた温泉地。江戸時代の後期になると、湯治だけでなく、物見遊山を目的とした「箱根七湯」と名所などをまわる「七湯めぐり」が人気を博すようになったという、今も人気の湯だ。
芦之湯温泉の看板を右手に見て、選手は気持ちを切り替えていく。残り5キロメートル。ここから少し下ると左手に箱根ドールハウス美術館(15.8キロメートル地点)が見えてくる。ここが最後の給水地点になる。
500メートルほど登ると、874メートルの国道1号最高地点(16.2キロメートル地点)に到達する。大きな標識があり、選手はここから下りに向けて切り替えていく。下りが得意な選手は、上りで差が開いた距離をここから縮めていく。







