【箱根駅伝】「3位でいい?冗談じゃない」…“山の神”柏原竜二が監督にカチン、返した“ひと言”にグッときた第88回箱根駅伝往路5区を区間新記録で走り、4年連続往路優勝のテープを切る東洋大・柏原竜二 Photo:SANKEI

2009年の第85回箱根駅伝から4年間を通して5区を走った「2代目山の神」柏原竜二(東洋大学)。「魔物が住む山」と呼ばれる過酷なコースで毎年区間賞を獲得し、4年連続で往路優勝に貢献した。そんな彼は、「5区を意識するとかえって結果が出ない」と語る。“神の視点”から見た5区攻略の真髄とは?※本稿は、作家の佐藤 俊『箱根5区』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

1年生で5区に抜擢されるも
独自の調整を貫いた柏原竜二

 夏が終わるころ、川嶋伸次監督(編集部注/東洋大学陸上競技部をこの2008年まで指導)に呼び出されて、こう言われた。

「5区は柏原でいく」

 体がカーッと熱くなった。

「よし!」

 そう心の中で、叫んだ。

 箱根の区間配置が決まると、その区間を走る選手はコースを車などで見て回り、コースの分析をする。しかし、柏原は、5区に決まってもコースの分析をしなかった。

「分析とかあまり好きじゃないからです。僕は、定点観測地点から次の地点までのタイムとか気にしなくていいと思いますし、『前半このくらいで入って、このくらいのペースで押して、後半にこのくらい上げていこう』というのも必要ないと思っています。

 気象条件は毎回違うし、当日のコンディションも違う。襷をもらう位置も違う。このくらいのタイム差で来てくれるのが理想的とかよく言うじゃないですか。でも、駅伝でそんなにうまくいくことはないんです。シミュレーションをして、ひとつでも異なるものが出てくると人間の心って不安になっていくし、どうしようと思ってしまう。それは、山を上るうえで、マイナスでしかないんです」