駒大「大学駅伝3冠」の舞台裏、選手の意識を変えた“大八木監督の行動”箱根駅伝の中継で駒澤大学・大八木監督が、選手たちに「男だろ!」と檄を飛ばす印象が強い。ところが、大八木監督は近年、違う言葉がけを心がけていたという(提供写真)

かつて「平成の常勝軍団」と呼ばれた駒澤大学陸上競技部。箱根駅伝で勝てなかった期間を乗り越え、2023年の同大会で2年ぶりに優勝。さらに“大学3大駅伝3冠”の偉業を達成しました。駒澤大学陸上競技部はどのようにして再び強くなれたのか。大八木弘明監督の新刊『必ずできる、もっとできる。』から抜粋し、紹介します。

なぜ自分が変わろうと思ったのか

 勝てない間、ずっと焦りに似た感情は持っていた。

「新しい駒澤大学を作らなければならない」

 コーチの藤田ともずっとそんな話をしていたし、危機感もあった。だが、変わるきっかけがなかなかなかった。

 最初の変化は2018年の箱根駅伝後に訪れた。

 このときは12位。次の大会は予選会から臨まねばならなくなり、私は自分の指導に対する情けなさ、歯がゆさを感じていた。かつて「平成の常勝軍団」と呼ばれたが、それも昔の話だ。予選会から優勝を狙うまでにチームを立て直すのには時間がかかる。