数学者・秋山が趣味よりも
仕事に打ち込む理由
「最高のものを求める強い気持ちがないと、結果は出ないものなんだよ」とは、王貞治さんの言葉だが、自分で限界をつくらず、限界を超える120パーセントの力で挑んでこそ、輝ける点(いい結果)になって、将来、意義深い何かにつながっていく。
因みに、自分が“趣味よりも仕事が好き”なのは、全力で打ち込む濃度が全然違うからだ。仕事はたくさんの人が関わっているので、一旦引き受けた仕事は大変でも放り出すことができない。壁にぶち当たっても限界まで力を振り絞って乗り越えざるを得ない。仕事には責任が伴うので、趣味の時のような気楽さがなく、精神的にキツイものはある。
だが、締め切り間際などに、それまでからは信じられないような火事場の馬鹿力や集中力がどこからともなく出てきて発揮され、越えられそうになかった困難を征圧して、自分が思っていた以上の形に仕事が仕上がった経験が何度となくあった。あの底力みたいなものは、趣味の時の自分には絶対に出てこないと思う。そして、そのようにして果たせた仕事が、結果的に多くの人に楽しんだり喜んだりしてもらえたら、それ以上幸せだと思えることはなかった。
「一生懸命」だからと言って
必ずしも良い評価にはならない
誤った一生懸命は怠惰より悪い 本田宗一郎(本田技研工業創業者)
“一生懸命取り組まなければいけない”と言ったが、本田宗一郎さんの言葉のように、“誤った一生懸命”をやっている人を今まで結構な数、見てきた。どういう“一生懸命”なのかというと、ひとつは“仕事を始める前にろくすっぽ考えないで着手し、能率や筋の悪いやり方で、ひたすら馬力を出して、頑張ってやってます”というタイプの“一生懸命”だ。
そして、もうひとつは、一番安易な目標設定をしたうえで、“頑張ってやってます”と言ってやり出し、結局いくら頑張ってもレベルの低い結果しかもたらされないタイプの“一生懸命”だ。“一生懸命取り組む”という時に大切なことは、仕事を始める前の見積もり(段取りの考察・設定)や、「どんなものを作ろうか」「どんなコンセプトでやろうか」とこれからやる仕事に対してできるだけ高い目標を設定し、それに向けてアイディアを出すことだ。







