それに対して、仕事ができる人は、他の人よりも遥かに重たい仕事をこなしてくれていても、本人にしたら大した仕事だと思っていなくて、“面白い経験をさせてもらいました”とか、“あの部分をもう少しうまくデキたらと思ってるのですけど”等と言って何ともない顔をしていたりする。一緒に仕事をした人達は、歴然と誰がどれぐらい重要な役割を果たしたかわかっているので、いくら欲深い人間が自分の手柄を主張しようと、まわりの評価は自ずから定まっているのだが。
忙しく活動している人ほど
早く丁寧な対応をしてくれる
「仕事を頼む時は、一番忙しい人にやらせろ。それが事を的確に済ませる方法だ」と、ナポレオンは言っていたそうだが、私の経験でも“忙しさ=依頼される仕事の多さ”が仕事ができるか否かのバロメータになっていることが多々あって、忙しい人に頼んだほうが的確にいい結果をもたらしてくれることが多い。
『数学者に「終活」という解はない』(秋山 仁、講談社)
自戒を込めて言うのだが、協働で仕事をする時は、“自分がすごく貢献した”と思っても決して吹聴せず、また、協働チームに誘われた時に自分に“そのチームへの参加の可否権”が与えられるほど引く手あまたの存在でいられるよう、日頃から自分に任されている仕事には手を抜かずに取り組んでいなければいけない。
そういえば、私は拙著を出版するたびに、知人や友人に献本するのだが、忙しく活動している人ほど早く丁寧な礼状や感想を送ってくれる傾向があるように思う。そのことに、気づいてから、私は「このままではヤバい」と意識を改め、人から何かをしてもらった時は、出来るだけ早く心を込めて礼状を書くように心掛けている。







