「親もいつか分かってくれる」は間違いだった…毒親育ちが捨てるべき“危険な幻想”
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【精神科医が教える】「毒親」の支配から一生逃れられない人の共通点Photo: Adobe Stock

毒親問題の本質と
今日からできる対策

今日は「毒親問題」について深く掘り下げて考えていきたいと思います。

毒親問題は非常に根が深く、講演会やお悩み相談などでも、必ずと言っていいほど話題にのぼります。今回は、なぜ毒親が発生するのかというメカニズムと、その対策についてお話しします。

あえて「毒親」という言葉を使う理由

まず初めに言葉の定義についてです。私自身、「毒親」という言葉は、親に対する悪口のようであまり好きではありません。しかし、あえてこの言葉を使うのには理由があります。

それは、「毒親」という表現を使うことでピンとくる方が多く、親から受けた恨みや辛みが人生に与える影響の大きさを理解しやすくするためです。分断を生む言葉であることは承知の上で、最終的には「融和」を目指すために、現状を認識する言葉として使用します。

また、毒親というのは特別な誰かだけではなく、誰しもがなり得るものです。自分自身もなり得るし、部分的にそうなっているかもしれない。そういった戒めや広い意味合いも含めて考えていきましょう。

毒親の正体は「愛」ではなく「執着」

毒親とは何かをひと言で表すと、「自己愛不全に陥り、子どもに対する本当の愛を知らず、執着してしまっている親」のことです。「本当の愛」とは、子どもをありのまま認め、見返りを求めず「本人が幸せに生きてほしい」と願う純粋な気持ちです。

毒親の場合、子どもを「自分とは異なる人格」として認められず、自分と混然となった存在、つまり「自分の一部」として認識してしまっています。特に母親の場合、自分の体から生まれてくるため、子どもが成長して自我を持っても、感覚的に切り離せないことがあります。

その結果、愛と執着が混同され子どもを支配しようとしてしまうのです。これは親自身が「自分と他人の問題」を切り分けられていない状態といえます。

子ども側から「線引き」をするしかない

では、どう対処すればよいのでしょうか? 親に対して「それは子どもへの愛ではなく執着ですよ」と説得しても、残念ながら伝わりにくいです。親自身がそれに気づける状態であれば、そもそも問題は起きていないか、すでに解決しているはずです。

つまり、解決のためには子どもであるあなた自身から動き、親から自分を切り離すしかありません。

子ども側にも、「理想の親であってほしい」という期待や執着が少なからずあるものです。お互いに執着をぶつけ合っている状態から脱却し、「私の問題は私がやります。あなたの問題はあなたがやってください」と、自分から線引き(課題の分離)をする必要があります。

具体的な対策
物理的・精神的な距離の取り方

長年支配されてきた関係性において、いきなり反抗するのは怖いことだと思います。しかし、「自分軸」を取り戻すために、少しずつ行動を変えてみましょう。

➊電話や連絡への対応を変える
例えば、親から電話がかかってきたとき、条件反射ですぐに出るのをやめてみてください。「明日かけ直す」「用がなければかけ直さない」といった具合に、自分のペースで対応するように徐々に変えていきます。

➋不快な話になったら即座に切る
電話で話している最中に、親があなたの領域に口を出してきたり、支配的なことを言ってきたら、喧嘩をする前に電話を切ってしまいましょう。理由は、「用事がある」など何でも構いません。

私自身の実例ですが、母と話していて「こうしなさい」と指図されそうになったら、その瞬間に電話を切るようにしていました。最初は怒られましたが、繰り返すうちに母も学習し、お互いに適切な距離感で話せるようになりました。

❸実家にいる場合も「帰る」
実家に帰省している時でも、嫌な話題が出たら「じゃあ、もう帰るね」とその場を離れるようにします。

親を変えようとせず「自分軸」を持つ

大切なのは、「親を変えよう」と思わないことです。それは不可能だと思ったほうがいいです。親が変わるのを待つのではなく、子どもであるあなた自身が「自分のことは自分で決める」という態度を、行動で示し続けることが重要です。

親の支配や干渉に対して、「そこに入ってきたら、私は離れますよ」というメッセージを行動で伝え続けてください。自分軸を意識し、少しずつ実践していくことで、必ず今よりも楽な関係性を築けるようになっていきます。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。