AIにできないこと

――自分でもそう思ってたんですか?

うのき:そうですね。SNSでは、AIが出てきてから、意識してまっすぐな線を描かないようにしてました。定規はもちろん使わないようにして。その方が味が出るんですよね。もちろん何度も描いていると、まっすぐ描けるようになるんですけど、それでも完全に直線ではない。その人の独自の線になるんです。逆にAIが僕が定規を使って引く線よりも完璧な直線を一瞬で描いちゃう。

――たしかに、うのきさんの絵って味があります。うまく言えないんですけど……。

うのき:そう、うまく言えないのが味ですよね。ガタガタな線がいいんですよ!と言われてから、やっぱそうだよな!と確信を得て、それからは絶対、真っ直ぐ描こうとしない!きれいに描こうとしない!と決めました。

たった1日で誰でも開成・灘中の算数入試問題が解けちゃう本うのきさんが描いたイラスト、『たった1日で誰でも開成・灘中の算数入試問題が解けちゃう本』の冒頭より

――なるほど、そういうことなんですね。文章も一緒ですね。

うのき:きれいな文章ってことですか?

――そうですそうです。日本語として正しい文章は、AIの方が絶対得意じゃないですか。でも、正しくても味がない。なんか、AIっぽい文章ってあるじゃないですか。

うのき:ありますねー!それこそ僕は、問合せメールの返信をAIに整えてもらったりしてます。

――返信メールに味とかいらないですもんね。笑

うのき:いらない。笑 むしろ失礼がないかとかチェックしてほしい。

――ですよね。でも、この人と一緒に仕事したい!のような依頼のメールとかは、絶対AIに書かせないです。

うのき:ラブレターだ!

――AIが書いたラブレターってなんか嫌ですもんね!笑

うのき:これからラブレター書くことがあるかわかりませんが、とりあえず絵はAIを使わずに、まっすぐな線を描かないようにしていきます。笑

――うのきさんの絵、これからも楽しみにしております!

<本稿は『たった1日で誰でも開成・灘中の算数入試問題が解けちゃう本』(菅藤佑太著)に関するインタビュー記事です>

【AIに淘汰? なめんなよ!】人気イラストレーターがAIに勝つために「あること」をやめた。それは一体なに?うのき福井県出身。石川県在住。専門学校卒業後、似顔絵師、印刷工、メッセンジャーなど様々な職を経て32歳の時に「イラストハウスうのき」として独立。皮肉の効いた風刺漫画やクセのあるアニメーションが得意。現在ウェブメディアFREAK MAG.にて「アリかも!!フリークさん」を連載。2025年にアニメーションをメインとする「株式会社うのきスタジオ」を設立。『たった1日で誰でも開成・灘中の算数入試問題が解けちゃう本』(ダイヤモンド社)では、装画だけでなく、本文イラスト、マンガを担当。