藤田 例えば、「口で勝とうとしてくる人」というのは、典型的な仕事ができないパターンなのではないでしょうか。仕事の結果ではなく、プロセスにおいて相手を言い負かすことに重きをおいているからです。「批判ばかりしている人」もそうかも知れません。ですが、もし職種が新聞記者であれば、批判精神を持つことは重要で、仕事ができる人だともいえます。
職種や業種によっても求められる能力が変わるので、仕事ができない人の特徴も一概に言うのは非常に難しいです。
ただ「想像力の有無」については、仕事ができるか否かに関係していると思っています。相手の立場を想像する、想像力に磨きをかけることは、仕事をするうえで成長に繋がると思います。
想像力は誰にでもあるものだと思うかもしれません。だけど、相手の置かれている立場に立って、相手が今考えていることを想像するのは、意外と難しい。
――藤田さんが大学生の頃に出合ったという『人を動かす』(デール・カーネギー著)に、相手に「誠実な関心を寄せる」「関心のありかを見抜く」とありますね。
藤田 そうですね。想像力ってそういうことだと思います。
「顔を見ただけで投資を決めた」
いったい何が良かったのか?
――ご著書「勝負眼」には小川嶺社長率いるタイミーへの投資について、「若い起業家を集めた飲み会で初めて会って、顔を見ただけで投資を決めた」とあります。「プラン(※事業計画)より人を見たほうがいい」とも。人となりを見るときにどのような点を重視しているのでしょうか。
藤田 投資すべきか見極めようと思って起業家にさまざまな質問をしても、想定される質問に対する答えを事前に完璧にマスターしてくるので、大抵はどんな質問をしてもペラペラと流暢(りゅうちょう)に答えられてしまうものです。採用面接のときの学生と一緒ですね。
想定問答集が頭に叩き込まれているので、だいたい私が思いつくような質問に対して上手に答えられてしまい、これから色々な問題が起きたときに乗り越えられる人物なのかどうかまではわからない。だから、結局は素の顔を見るしかないんです。
タイミーの小川社長と初めて会ったのは、気軽に飲める居酒屋チェーンで開いた若手起業家を集めた飲み会でした。投資を決めたのは、事業計画や市場など細かな検討して決めたというよりは、経営者である小川社長と話をして「よさそうだな」と感じたからです。







