藤田 「勝負眼」にも書きましたが、まず投資先として見るべきは、事業分野が伸びているか。成長市場かどうかということですね。次は社長がイケてる人かどうか。小川社長の場合も事業計画を詳しく聞いたら投資できなかっただろうと思います。事業計画についてはよく聞かずに投資をしていることが多く、そのぐらい適当なものなんですよ。

 そして最後に周りからの評判です。起業家の世界でも、意外と美人コンテストみたいなところがあって、みんなが口をそろえて評価している企業にはメディアが取材に行くようになり、良い意味で目立つようになると、人材採用でも資金調達でも有利になりますし、取引も増えます。評判がいいと何かとうまくいきやすいんです。そういうところも見ています。

「イケてる人」に
なる方法は?

――さまざまな経営者の方とお付き合いがあると思いますが、イケてる人になる方法はあるのでしょうか。

藤田 ドン・キホーテの安田隆夫創業会長の造語で「集団運」というものがあるんです。人は、置かれた環境や周囲の人間に強く影響を受けます。たとえば集団の大多数の人がポジティブであれば中間の人もポジティブになる。同じように、集団全体で運が上向いたり、下向いたりするという考えです。

 経営者同士でも元気な経営者同士が仲良くしていたり、ある程度の規模になった経営者同士が仲良くしていることが多い。だから、付き合う人や環境の影響は想像以上に大きいのではないかと思います。

採用面接で重視している
「地頭の良さ」より大切なものとは?

――2010年頃まで新卒採用の最終面接をご担当されていましたが、そのときはどのように人となりを見ていたのでしょうか。採用面接ではオフィスの一室という限られた場で、面接の時間にも限りがあります。

藤田 私が採用面接をしなくなって長くなりますが、現在も新卒採用では当社の社風と合うかどうかを重視しています。当社では「素直でいいやつ」が採用基準になっていて、話をする中で滲み出る、誰からも好かれる人柄や性格の良さといったところを見ています。

――「地頭の良さ」を求める会社もあります。地頭よりも素直さでしょうか。

藤田 「素直でいいやつ」でよいのかと何回も自問自答し、試してきましたが、やはり同じチームで一緒の志を持って頑張る仲間として、素直でいいやつが良いとなりました。