1人目が間違った席に座ったら……
 2人目も間違った席に座ったとして……
 3人目は自分の席に座れて……
 いろんなパターンがありうるなかで、問われているのは100人目が自分の席に座れる確率?

 アタマ爆発しそう。
 どうしろって言うんだ……。

 古くから名作として知られる、かなりの難問です。
 確率が問われていますが、難しい計算は必要ありません。
 ぜひ、頭を柔らかくしてチャレンジしてみてください。

1人目が「自分の席」に座った場合

 難解そうな問題ですが、あることに気づけば一気に簡単になります。
 ここは地道に、「もし1人目が~の席に座ったら」と、場合分けして考えていきましょう。

 まず、1人目の乗客が「本来の自分の席」に座れた場合。
 つまり100分の1の確率で、自分の本来の席を当てた場合ですね。
 このとき、その後の2~99人目の乗客は全員、自分の席に座れます。
 自分の席が空いているわけですから、当然ですよね。

 結果として、「100人目が本来座る席」は最後まで空いています。
 100人目は当然そこに座ります。
 乗客は全員「本来の自分の席」に座っていることになります。

1人目が「100人目の席」に座った場合

 では次に、1人目の乗客が、本来は「100人目が座る席」に座ってしまった場合。
 これも、100分の1の確率で起こりえます。
 そしてこの場合も、その後の2~99人目の乗客は全員、自分の席に座れます。

 結果として、最後まで空いているのは「1人目の乗客が本来座るべきだった席」だけです。
 100人目の乗客はそこに座るしかありません。
 この場合、「1人目の乗客」と「100人目の乗客」以外の98人は、「本来の自分の席」に座っています。

1人目が「2~99人目の席」に座った場合

 ここまではわりとシンプルな話だったと思います。
 ややこしいのが、1人目の乗客が「本来の自分の席」でも「100人目が本来座る席」でもない、別の席に座ってしまった場合です。
 100席あるうちの、「1人目」「100人目」以外の席に座った場合なので、これは100分の98の確率で起こりえます。

 この場合、2~99人目の乗客は、自分の席が空いているならそこに座り、空いていない場合は空席をランダムに選んで座ります。
 全員がランダムに座るわけではなく、あくまで「自分の座席が埋まっている人」だけがランダムに座ることに注意してください。

 さて、この場合、2~99人目の誰かが「1人目が本来座る席」もしくは「100人目が本来座る席」に座った時点で、それ以降の乗客(99人目まで)は自分の席に座ることができます。
 なぜでしょうか?
 わかりやすいように5人バージョンで考えてみましょう。
 A→B→C→D→Eの順で乗ってくるとします。
 Aが搭乗券を忘れた1人目の乗客で、Eが最後の乗客です。

 まず、Aが「自分の席(A)」でも「最後の乗客の席(E)」でもない席に座ったとします。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 次にBが乗ってきて、空いている自分の席に座ります。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 問題は次のCです。
 Cの席にはすでにAが座っています。
 そこでCは迷った結果、空いていたDの席に座ったとします。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 その結果、次に乗ってきたDも困惑します。
 自分の席に、すでに人がいるからです。
 そこでDは迷った結果、空いていたAの席に座ったとします。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 そうすると、最後に乗ってきたEは自分の席に座れます。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 または、もしDが選んだのが、空いていたEの席だったとしたら。
 その場合、最後に乗ってきたEは、最後まで空いていたAの席に座ることになります。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 つまり、DがAの席を選んだら、EはEの席に座る。
 DがEの席を選んだら、EはAの席に座る。
 ということなので、その確率は半々です。

他のパターンも考えてみよう

 最後から2番目の乗客が「最初の客の席(A)」もしくは「最後の客の席(E)」に座る場合を想定しましたが、他の乗客が同様の行動を取った場合でも、結果は同じです。

 たとえば、AがBの席に座ってしまったとしましょう。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 次に乗ってきたBは、自分の席がありません。
 迷いましたが、Aの席に座りました。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 この瞬間から、以降の乗客は全員、自分の席に座れるようになります。
 自分の席が空いていますからね。
 E(5人目)も自分の席に座れました。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 では、もしB(2人目)がEの席に座ったとしたら?

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 この場合でも、Eを除いて、以降の乗客は自分の席に座れます。
 自分の席が空いていますからね。
 ただしEのみは、自分の席が埋まっているため、空いているAの席に座ることになります。

7歳男の子から「面白すぎて熱が出た」との感想も! 子どもがハマる異例のビジネス書で紹介されている問題『失われた搭乗券』とは?

 他のパターンで試してみても同じことが起こります。
 最初の乗客が、「自分が本来座る席」でも「100人目の乗客が本来座る席」でもない、別の席に座ってしまった場合、1人目と100人目以外の98人のうち、「1人目の席」か「100人目の席」のどちらかに座る人がかならず1人います。

 その人が座ったのが「1人目の席」だったら、100人目は自分の席に座れます。
 一方で、その人が座ったのが「100人目の席」だったら、100人目は「1人目の席」に座わることになります。

 つまり、その「途中の誰か」が「1人目の乗客が本来座る席」と「100人目の乗客が本来座る席」のどちらに座ったかによって、最後の乗客に残される席が決まります。
 2種類ある席のどちらかが選ばれるので、

 確率は50%ずつです。

すべての可能性をまとめよう

 ここまで見てきた各パターンが起きる確率は以下のとおりです。

①1人目の乗客が「本来の自分の席」に座る→1%
②1人目の乗客が「100人目が本来座る席」に座る→1%
③1人目の乗客が「2~99人目が本来座る席」に座る→98%

 そして、それぞれのパターンで100人目の乗客が「本来の自分の席」に座れる確率は以下のとおり。

①100%
②0%
③50%

 パターン①は1%の確率で起こり、その場合100人目は確実に自分の席に座れます。
 パターン②も1%の確率で起こりますが、その場合100人目は自分の席に座れません。
 残る98%の場合(パターン③)では、100人目が自分の席に座れる確率は50%となります。

 つまり全体で見ると、100人目の乗客が本来の自分の席に座れる確率は50%です。

<正解>
50%の確率で自分のチケットに書かれた席に座れる

この問題から学べること

 この問題、海外では古典的な確率問題として有名でして、「Airplane Passenger Puzzle」「The Airplane Probability Problem」などと呼ばれています。

 起こりえる可能性が無数にありそうな状況なのに、論理的に考えていくと、結果的には五分五分だとわかる。かなり直感が裏切られる問題でした。

 確率が関係する問題って、だいたいそうなりますよね。それくらい、私たちの判断の多くが「当てずっぽう」であるということなのかもしれません。

 POINT
・可能性が無数にありえるように見えても、じっくり考えると、論理的な答えが見えてくる

(本稿は、『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。書籍では同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)