「考える楽しさを教えてくれる、全世代におすすめの一冊」
と話題になっているのが、書籍『もっと頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』(野村裕之著、ダイヤモンド社刊)だ。Google、Apple、Microsoftといった超一流企業の採用試験でも出題され、“地頭力”を問う知的トレーニングして注目される「論理的思考問題」の傑作を紹介している。「家族みんなで楽しんでます」「本を読まないうちの子が夢中になっていた」と全世代から反響を得ている同書から、「状況を整理して考えられる人」だけが解ける問題を紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「頭のいい子供たち」が夢中になっている異例のビジネス書で紹介されている思考トレーニング『6匹の猫』とは?イラスト:ハザマチヒロ

複雑な状況を整理して考えられるか?

「論理的に考える」ことで見抜けるのは、目の前にある真実だけではありません。
 次の問題、無数に考えられる可能性を整理できるでしょうか?

「6匹の猫」

 6つの箱が並んでいて、1匹ずつ猫が隠れている。
 すべての猫は毎日かならず、1つ隣の箱に移動する。

 何日か後に、1箱に4匹が入っていることはありえる?

「頭のいい子供たち」が夢中になっている異例のビジネス書で紹介されている思考トレーニング『6匹の猫』とは?

 イラスト:ハザマチヒロ

 お。かわいい問題ですね。
 1日ごとにとても規則的に移動する猫。
 シンプルで簡単なように見える問題ですが、ヒントになりそうな情報が少なすぎて、どう考えたらいいのでしょう?

 では、考え方を解説していきます。

予測のつかない猫の動き

 1日経つたびに、猫たちは1つ隣の箱にかならず移動する……。
 6つの箱にそれぞれ「1~6」の数字をふって、1日目にそれぞれの箱にいる猫を「猫1」「猫2」と呼ぶとしましょう。
 つまり、1日目はこんな感じです。

 1:猫1
 2:猫2
 3:猫3
 4:猫4
 5:猫5
 6:猫6

 翌日、6匹の猫はそれぞれ1つ隣の箱に移動します。
 猫1と猫6は、それぞれ移動できる「隣の箱」が1つしかありませんから、行動が限定されます。
 それ以外の4匹は、左右どちらの箱に移動するかわかりません。
 たとえば、こんなふうに移動したとしましょう。

 1:
 2:猫1
 3:猫2
 4:猫3
 5:猫4・猫6
 6:猫5

 ふむふむ。
 では次の日は、たとえばこんなふうに移動したとします。

 1:
 2:
 3:猫1
 4:猫2・猫4・猫6
 5:猫3・猫5
 6:

 おお、「4」の箱に3匹が集まりましたね
 こんな具合に考えていけば、やがて1つの箱に4匹の猫が入る日がくるかも?

 ……はい、大変すぎますね。
 考えられるパターンは無数にあります。
 ひとつひとつ考えていくのは、ちょっと現実的ではないですね。

猫の動きに「法則」はある?

 こんなときこそ、「論理」の出番です。
 すべてのパターンを検証せずとも、共通する法則を見つけられれば、論理的に考えることで答えを導けます。

 先ほど見たように、猫1匹ずつの動きを追っていくのは現実的ではないので、

 猫の動きをいくつかのパターンでまとめられないか考えてみます。

 今回、猫が隠れているのは1~6の箱。
 つまり1日経つたびに、

 ・偶数の箱にいるネコは奇数の箱へ
 ・奇数の箱にいるネコは偶数の箱へ

 ……と、かならず移動するわけです。

 1日目、偶数の箱にいる猫は3匹です。
 そのすべての猫は2日目に奇数の箱に移動します。

 反対に、1日目に奇数にいた3匹の猫は、2日目にはすべて偶数の箱に移動します。

 つまり偶数の箱に3匹、奇数の箱に3匹という状況は、何日経っても変わりません。
 であるため、どれか1つの箱に4匹が存在する状態はありえません。

<正解>
 1箱に4匹が入ることはない

「思考」のまとめ

 猫1匹ずつの行動を読もうとすると困難極まりますが、「猫がどれだけ移動しても、奇数と偶数の配分は変わらない」と見抜けると、先々の動きまで見通せてしまいました。
 考えるべき可能性が無数にあるときは、まずいくつかにまとめられないか考えてみる。そうすると複雑な問題もシンプルになって、一気に考えやすくなります。

 ただ当然ですが、現実の猫はこんなに聞き分けよくはないので、この作戦は通用しません。でも、そこがまた可愛いんですよね。

 POINT
 ・可能性や選択肢が無数にあるときは、いくつかのパターンにまとめるなどして、共通する「法則」を見つけると考えやすくなる

(本稿は、『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。書籍では同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)