官僚の側からも『まったくその通りです』と。ただ今までは、経済的なインセンティブとか、過疎地医療に従事した経験を、国立病院などに限定して院長らになる要件にした程度だった。

 しかし官僚たちも『それじゃ全然もう追いつかなくなってきてるっていうことは、自分たちもよく分かってます。ここでやはり、思い切った手を打たなければいけない』と言うので、『分かった。じゃあ、俺はそのことを今度の日曜討論で発言するからな』と言って、あれになった。

 横倉さんは急に僕がそういうことを言ったもんだから、目がびっくりしてましたよ。終わった後、『相当、医者たちの抵抗がある。やっぱり慎重にお考えください』とか何とか言ってましたよ」

 武見はその後、横倉や日医会長の松本吉郎と何回か会う機会があり、「この問題はもう放置できませんよ。役人がああだ、こうだと言う前に、むしろ日本医師会の方で、緊急の課題としてどう取り組むかという方針を先に出していただいた方がいいと思いますよ」と持ちかけたという。

「医師偏在対策」をまとめ上げるのに、武見は日医の協力が必要と考えていた。

(編集部注/厚労省内の検討会では、開業規制に従わない場合に保険医療機関の指定取消が議論されたが、結局、日医の強硬な反対を厚労省は押しきれず、骨抜きの決着を見た)