埼玉県の医療人材課の担当者は「若い医師は多くの症例を積んで成長したいという意欲のある人が多いと思うので、症例数が多い東京の大学病院で学ぼうとする傾向が強い。それは埼玉県だけでなく、ほかの都道府県でも若い医師を東京に取られるという懸念があるのかなと思っています」と話す。
東京都の医師数は全国トップの4万5562人。10万人あたりでも5位の324人と、埼玉の実に1.8倍だ。同じビルに様々な診療所が入居する「医療モール」による開業も急増している。
厚労相のテレビ発言に
日本医師会は色をなして反論
24年4月に放映されたNHKの「日曜討論」。日本の医療制度を議論する中で、医師の地域偏在をなくす手法として、厚労相の武見敬三の発言が厚労省の内外に衝撃を与えた。
「(大学医学部の)入学試験なんかのときに、地域枠を設けて、それで地域の医師を確保しようとかやってきましたよね。まだまだやっぱり、なかなか偏在解消できない地域において、医師の数の割り当て、これをやはり本気で考えなきゃならない時代に入ってきたかなと思います。診療科の偏在をどのように是正していくかも同時に考えることが必要です」
一緒に出演していた日本医師会(日医)名誉会長の横倉義武がすぐさま反論した。
「割り当てをするとなると、相当抵抗があります。強制的に医師を地方に勤務させるのは難しいのではないですか」
地域や診療科ごとの医師数の割り当てはドイツなどで行われており、日本でも以前から導入すべきだという意見がある。
それに対し、日医はあくまでも勤務地に制限がなく、どこでも自由に開業できる「自由開業制」の維持を主張し、開業規制は「職業選択や営業の自由を定めた憲法に違反する」と一貫して反対してきた。
日医に歩調を合わせるように、医師数の割り当てには慎重だった厚労省で、大臣の武見の発言を事前に知っていたのは少数の幹部だけだった。







