このように、自然とのふれあいは、子どもの心や体の健やかな成長を支えるだけでなく、免疫の“行き過ぎ”を防ぎ、過剰なアレルギー反応を抑えるような体質を育てるという意味でも、大切な役割を果たしているのです。

生後6カ月~2歳頃に接触した
ウイルスが免疫力を高める

 ここまで読んで、微生物とのふれあいが免疫にとって大切な意味を持つことを理解していただけたかと思いますが、注意が必要なのは、“手当たり次第”に微生物と接すればよいというわけではない、ということです。

 突然ですが、皆さんは「風邪をたくさんひくと、免疫力が高まる」という話を聞いたことがあるでしょうか。

 確かに、感染症への曝露が免疫系の訓練になるという考えは、衛生仮説の根幹をなす発想の1つです。

 しかし、近年の研究で、「どのウイルスに、どの時期に、どの程度感染するか」が免疫系の発達やアレルギー疾患の発症に決定的な違いをもたらすことが明らかになってきました。

 つまり、「質(ウイルスの種類)」と「タイミング(感染する年齢)」、そして「量(感染の頻度や重症度)」が、いずれも免疫の成熟に重要であるということです。

 一例を挙げると、乳児期に腸内に定着するウイルス、たとえば腸内ウイルスや非病原性のノロウイルスなどがもたらす刺激は、制御性T細胞を活性化し、アレルギー抑制に働く可能性があります。

 その一方で、同じ乳児期に呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)やヒトライノウイルスなどに罹患した場合には、喘息の発症リスクが高まることが多くの研究で報告されています。

 前者の事例から、乳幼児期に「全く感染症を経験しない」ことは、免疫系にとって不自然であるといえると思います。

 とくに、生後6カ月~2歳頃の「感染ゴールデンタイム」における軽度のウイルス性疾患の経験は、免疫の成熟に必要なプロセスともいわれています。

 ただし、後者の例が示すように、単に“感染すればよい”ということではなく、「どのウイルスに、どの時期に、どの程度感染するか」が重要というわけです。