眠れないことによるストレスや不安が、不眠をさらに悪化させさせてしまっていることも少なくありません。

 眠れなくても、横になって目を閉じているだけで休息になると言われます。

 実際、浅いノンレム睡眠で眠っていることも少なくありません。目からの情報は遮断されますし、体を休ませることができます。

 ですから私は、眠れなくても目を閉じて横になっていたことで、ご本人が「少し休めた」とか「体が少し楽になった」と思うなら、それはいいことだと思います。

「1日くらい眠れなくても大丈夫!」と気楽に考えることも、時にはとても大切なことなのです

65歳を超えたら
睡眠時間より活動時間を優先

 私は「7~9時間の睡眠時間がおすすめです」と、患者さんにも自身のYouTubeでもお伝えしています。

 しかし、例えば65歳で退職された人から、

「今まで6時間睡眠で何とかやってきたのですが、8時間寝たほうがいいですよね?」

 と聞かれたとき、返答に悩むことがあります。

 多くの方に推奨できる睡眠時間は確かにあるのですが、結局、適切な睡眠時間はその人によって異なります

 睡眠不足の若い方だったら、できるだけ寝たほうがいいのは間違いありません。

 一方で、65歳を過ぎてから「もっと長く眠らなければ」とこだわり過ぎると、かえって臥床時間ばかりが長くなります。長時間の臥床が死亡リスクの上昇と関連するという研究報告もあります。

 さらに、眠ろうとしても眠れずに布団で長時間過ごすことで、不眠の悪循環に入ってしまう人も少なくありません。

 65歳を過ぎたら、必要以上に長く眠ろうとしなくても大丈夫です

「退職して時間ができたので睡眠時間を1時間増やそう」と考えるよりも、起きている時間にやりがいある活動を取り入れるほうが、実は健康的にすごせることが多いのです。