これは過去に実施された27の研究を精査したものです。その結果、多量の飲酒では入眠が早まる傾向はあるものの、レム睡眠への悪影響は強く、全体として睡眠の質は低下することが示されました。

 さらに少量の飲酒でも、レム睡眠の開始が遅れたり時間が短くなることが確認されています。

 つまり、アルコールは量の多少にかかわらず「眠りのバランス」を崩す要因であり、寝酒がぐっすり眠るための方法にならないことが明らかになったのです。

「酒は百薬の長」と言われたりしますが、最近では健康によくないと考えられるようになってきました。特に、睡眠とアルコールの相性は非常に悪いのです。

「眠れないからお酒を飲む」のは逆効果なので、絶対にやめてください。お酒を楽しむなら、夕食時に飲むようにしましょう。

 そして、布団に入るまでに数時間あけて、酔いがさめてから眠るようにすれば、睡眠への悪影響を最小限に抑えられます。

1時間の睡眠負債を返すには
4日連続の良質な睡眠が必要

 慢性的な睡眠不足が続くと、毎日少しずつ「負債(借金)」が積み重なっていきます。これを「睡眠負債(sleep debt)」と呼びます。

 日本人の平均睡眠時間はOECD諸国の中で最短レベルにあり、世界的に見ても睡眠不足が深刻な国のひとつとされています。

 この「睡眠負債」を一晩ぐっすり眠っただけで解消しようとするのは、まず無理です

 国立精神・神経医療センターの北村真吾博士らの研究では、1時間分の「睡眠負債」を返済するのに約4日間の延長睡眠が必要であることが示されています。

 たとえば、7時間の睡眠が必要な人が6時間しかとれなかった場合、1時間の「睡眠負債」が生じます。これを返済するためには、7時間から9時間の質のよい睡眠を4夜連続とる必要があります。

 つまり、睡眠不足は「まとめて返せる」ものではなく、「少しずつしか返せない」ものなのです。

 また、「週明けが忙しいから、あらかじめ土日にたくさん寝ておこう」と考える人もいますが、睡眠は「借金の返済」はできても「貯金」はできません

 十分に眠れていれば、それ以上眠ることはできないのが人間の仕組みなのです。