目的地を決めずに
電車に飛び乗るリーダー
リーダーシップのプロセス(『リーダーシップの科学』より)
――『リーダーシップの科学』第一章にある図について激論となったそうですね。パッと見は「そうだよな」と納得してしまいそうな印象です。
本間:「リーダーシップのプロセス」を表すこの図では、「リーダー(の働きかけ)→フォロワーの行動(共有する)→目標の達成(成果)」という図です。この矢印が、どうしてもリーダーシップから始まってしまいます。
鈴木:リーダーシップを発揮しましょうと考えたら、一番左のリーダーから考えるでしょう。でも、それが間違いなんです。つまり、「目的地はどこだ」ってことが決まらないのに、「じゃあ電車乗るか」と。「何駅から乗る?」みたいなことを決められないでしょう。でも、現実にはそういうことがあるわけですよね。
本間:とにかく走って駅まで行こうと。
鈴木:「あの地下鉄に乗ろう」みたいなことをいきなりしてしまうわけですよね。運よく目的地にいけるかもしれないけれど、変ですよね。
「どこに行きたい」の次に「楽に行きたいのか」「早く行きたいのか」「安く行きたいのか」など色々あるけど、そういうことが決まって、じゃあ「どの電車を使おうか」ってことが決まるわけです。
リーダーシップの分野だと、「新しい電車ができました」っていうと、「じゃあその電車乗ろうか」みたいなところから始まるといいますか。
本間:だから、「私たちがどういうふうに活躍したら、毎年売り上げを達成できるのか教えてください」って上司に聞いたら、多分言語化できないと思う。これまでは何も考えずに最近読んだ本で読んだことをそのままやるだけでよかった。だけど、それだと成功の確率が低くなる。
「持論をあみだすことが重要だ」って言われている時代もありましたよね。でも、それがいきすぎると「俺はこれでやってきたんだ」ってなってしまうし、経験学習も「経験しないと分からない」となると偏ってしまうし。その中で、「目標の達成(成果)」を構想する能力が求められるっていうのが鈴木先生の『リーダーシップの科学』だと思います。



