「部下とのコミュニケーションがうまくいかない」「なんだかチームがワークしていない」「上司が何を考えているのかわからない」……あなたの職場はこんな悩みを抱えていないだろうか。今や多くの職場で“当たり前”となった1on1。2017年に発売されて以降ベストセラーとなった1on1の入門書『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(本間浩輔・著)は、ヤフーが実践してきた対話手法について、今日から実践できる内容が満載だ。本記事では、「部下を気軽に飲み会に誘えない、というよくある上司の悩み」について、著者の本間浩輔氏に伺った。

【部下との飲み会】無理に誘うのは三流、気を使って誘わないのは二流、では一流の上司はどうする?Photo: Adobe Stock

●業務外だからこそ「配慮」を

「部下を飲みに誘えない。パワハラだと思われたらどうしよう」――部下をもつ管理職からそんな声をよく聞きます。

 一方で、上司と部下で楽しく飲み会に行っている話も聞きます。部下側からの希望で、定例化している飲み会も多くあります。

 その違いは、上司側の配慮なのではないかと考えます。

 そもそも、飲み会は“業務外”です。だから強制すべきではないし、部下本人の意思をちゃんと尊重するのは当たり前。その上で、「部下を飲みに誘えない」というのであれば、それは、部下との良好な関係ができてないということかもしれません。

 ハラスメントが怖いと言いながら、実は、必要なコミュニケーションをサボっているようにも思います。

●「分かってください」では都合がいい

 部下側は「上司と飲みに行きたい!」なんて思っていないことのほうが多い。でも、仕事を進めたり、自分のキャリアを歩んだりするためには、上司は活用したほうがいいし、自分のことを知ってもらう努力はしなきゃいけない。これは業務のなかで行うのが理想だけど、それだけでは難しいのも事実です。

「1on1をやりたくないです」「飲み会も行きたくないです」「でも、僕のことは分かってください」って、それでは都合が良すぎるのではないでしょうか。

 自分のキャリアの方向性でもいい、「この仕事は得意です」「こういう働き方は苦手です」って、なんでもいいから伝える勇気も必要です。上司に「自分のことをよく見てください」って思うだけでは、不十分です。

 だから、部下の側には「自分の取り扱い説明書を渡す」くらいのつもりで話してほしいし、上司の側も、そういう機会をつくるべきだと思います。

 業務内に1on1で話すのが難しければランチでも、雑談でもいい。飲み会も選択肢の一つです。