ウナギ店も展開しましたが、同様の道をたどって消滅。「ウチは接客業に向いていない」と痛感したものです。
「新規事業はどうせダメだろ」
空気のように広がる社内ジンクス
社員はチョコレートをつくったり売ったりしたくて明治に来たのであり、店頭に立つことなど想定外。しかも、店を任されるのは本社の部長クラス。どの店でも、不愛想な中年男性が接客をすることになるわけです。
宝石店運営でも、詰めの甘さを感じました。開店時間が9時~17時なのです。これでは、会社帰りの人が利用できません。「時間帯を後ろにずらせばいいのに」と意見する間もなく、早々と撤退。
「明治フローリスト」という生花店も、客は社員ばかり、しかも送別会等のイベントで利用することが中心となり、これまた撤退しました。
要は、似たり寄ったりの失敗を繰り返していたのです。一度失敗したら、その理由を明らかにして、改善してもう一度挑戦すれば良いのに、それをしなかったのでしょう。
その結果、社内には「新規事業は失敗する」という、ジンクスめいた空気が醸成されていきました。
分析も理屈もナシの、「どうせダメだろう」。この空気に、私は長らく悩まされることになります。
畳にホワイトボードが直立
熱海の温泉旅館での熱い夜
カカオ事業部が2年目に入った2000年。
事業本部長、製造部長、私の3人で、合宿をしました。場所は、熱海の温泉旅館。なぜ熱海なのかはわかりません。事業本部長が熱海と言えば熱海なのです。
私はその日営業があったので、一足遅れて合流することになりました。
夕方に現地到着。案内された部屋に入って、あっけにとられました。
畳敷きの和室に、ホワイトボードが直立しているのです。
「おお来たか!」と本部長。一瞬こちらを振り向いて、また何やら書き始めます。ボードの表面はすでに謎のグラフやマトリックスで真っ黒。本部長と製造部長が、ここまで何時間も議論をしていたらしきことが見て取れました。
議論のテーマは多岐にわたっていました。多種多様な原料をどう組み合わせ、どの客先に提案するか。どの原料が多く出ているか、どこが弱いか、どう攻略するか。







