日本の高齢者は「自助」が好き?
筆者の日本人の知人から聞いた話です。彼の父親は来年76歳で、ようやくリタイアするといいます。鉄鋼会社でエンジニアとして働いた後、現在は技術アドバイザーとして活動中です。年金額は十分で、すでに老人ホームの費用まで準備しています。「心配するな、全部自分でやるから」と息子に言うそうです。
OECDの2024年調査によると、購買力を調整した年金給付額はドイツが約7万5000ドル、日本が約5万3000ドル。これは、為替レートや生活物価も考慮した数字です。ドイツでは高齢者の介護を家族に期待する文化はあまりなく、多くは専門施設で働く外国人労働者が担っています。
近年はドイツでも年金制度を維持できるかどうか不安視されています。若い世代への負担増が議論の的で、「保険料をどこまで上げられるのか」が政治の争点になります。今払っている世代が将来どれほどの年金を受け取れるか、その保証はありません。
筆者が日本で最も驚いたことのひとつに、十分な大人になっても親からおカネをもらう人が多いことが挙げられます。私の周りには、50歳近いのに親からおカネやプレゼントをもらう人が結構います。実際、私の義両親も外食の際、みんなの分まで代金を支払ってくれます(ドイツではまず見られない習慣です)。
さらに、日本では親が子どもの住宅購入を支援するのは、あるあるです。ドイツでは非常に珍しく、仮に親が援助する場合でも、専用の貯蓄口座などで何年もかけて積み立てた資金です。一方、日本のシニア世代はバブル期に築いた資産が大きいのでしょうか、「マンション購入の頭金を親が一括で出してくれた」という話をしばしば聞きます。
実際、日本の高齢者は多額の資産を保有していると報じられています。これが「シルバーマーケット」と呼ばれる巨大消費市場を支えています。少ない年金でも生活できる理由のひとつと言えるでしょう。
さらに、日本にはドイツとは異なる価値観があります。
2019年になりますが、テレビ東京と日経新聞が「年金財政を補うために保険料を上げるべきか」について高齢者に調査したところ、62%が「自助努力で補うべき」と回答しました。一方「増税や保険料アップをしても年金を増やすべき」と答えたのは24%でした。







