片目界隈、和室界隈~SNS発の「界隈」文化

 また、SNSでの「あるある」投稿に対して用いられることもあります。

「片目界隈」「両目界隈」は、SNSで自撮りを投稿する際に片目だけを写した写真を投稿するのか、両目を出すのかの違いで使います。顔を全部写したくない、片目の方が「盛れる」という人が「#片目界隈」とハッシュタグを付けて投稿すれば、さりげない言い訳になります。

 「回転界隈」もいます。これはTikTokなどで自分のコーディネートを見せる時、前、横、後ろと回転していく様子を指します。

 TikTokでは自宅でダンスを踊って投稿する人も多いのですが、この際に和室で踊っている人を「和室界隈」と呼びます。「和室が好きな人たち」という意味ではありません。

 和室界隈と呼ばれる人たちは、地方の住宅に多い広めの和室や、モノが多くて生活感あふれる和室で踊っていることが多く、おしゃれでスタイリッシュ“ではない”、生活感がにじみ出るダンス動画になります。どちらかというとネガティブな意味や、自嘲的に使われることが多い言葉なのですが、最近は和室界隈を自称することで人気者になった人もいます。

「吉田いをん」というキャラクターで人気となったクリエイター・いよさんの「和室界隈」動画「吉田いをん」というキャラクターで人気となったクリエイター・いよさんの「和室界隈」動画

 最近は「ヒートテック界隈」も人気です。ファッションブランド「ユニクロ(UNIQLO)」の機能性インナーウェアであるヒートテックだけを着てダンスを踊る女性たちを指します。黒一色で飾りもないシンプルな服装になるため、本人を際立たせることができ、胸元やスタイルの良さを見せたい人が多いようです。顔はスタンプなどで隠している人が多いのも特徴です。

有名な「〇〇構文」も新たなミームへ

 もうひとつ、若者ならではの使い方がある言葉を紹介します。それは「構文」です。

「おじさん構文なら知っているよ」という人もいるでしょう。おじさん構文とは、おじさんが主に若い女性に向けてLINEを送るときに使われるメッセージを指します。

おじさん構文は読点やカタカナが多いのが特徴おじさん構文は読点やカタカナが多いのが特徴(筆者作成) 拡大画像表示

 おじさん構文が話題になり始めたのは、2016年頃でした。女子高生の間で「おじさんLINEごっこ」が流行し、一気に広まりました。