みんながハッピーになる
施策なんてあるのか?

 初任給を上げて優秀な新入社員を確保すること自体は、もう待ったなしの施策だろう。一方で、せっかくの施策が別方向に悪影響を与え、会社全体にひずみをもたらせば元も子もない。

 企業はどうしたらいいのだろうか。絶対的な回答はないが、解決の糸口はあるはずだ。

 まず、社員の気持ちになって考えてみたい。人は誰しも公平を望むものだ。既存社員にも経験やスキル、貢献度や業績に応じた報酬体系を明確化し、現在の給与(または賞与)の根拠となる説明が求められる。

 部門別に予算もあるし、完全に平等なんてありえない。しかし、できるだけ公平に努めているという企業姿勢を見せることが重要だ。

 なお筆者は、新卒で入った会社の姿勢が真摯ではないと思ったので退職した。今の若手離職率はもっと高いだろう。Z世代にはフェアネスがさらに重要になっている。

 次に、初任給だけでなく「生涯年収」を設計し直すことで人材獲得の訴求性を高めたい。初任給はニュース性と即効性はあるが、人生100年時代を生き抜くためには正直、初任給よりも生涯年収のほうがはるかに重要だ。

 それを分かっている人は、初任給だけ高い企業よりも、社員を大切にし適切な評価をする企業を求めて自然と集まる。企業側も、そのようにアピールしたほうが中長期的なブランディングになるはずだ。

 従業員の納得感を伴う賃金改革が求められている。釣った魚にエサはやらないが、新しい魚には高級エサを撒くなんて実態はあまりに悲し過ぎる。

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