「七味」とは、うらみ・つらみ・ねたみ・そねみ・いやみ・ひがみ・やっかみ――。どれもが嫌な感情です。

 江上さんはこの七味について作中で「人を翻弄するこれら七つの性は、いずれも自他の比較に由来する。他人と較べる中でしか自己を見ることのできない人の宿痾であり業である」と説明しています。宿痾とは、「慢性の病」「持病」のこと。自他を比較することによって、こんな病を抱えてしまうというわけです。

他人と比べなければ
人生はずっと楽になる

 20年以上前に『世界に一つだけの花』というヒット曲がありましたが、人間はまさに十人十色。十人いれば十通りの、趣味、嗜好、生き方、考え方があり、出身地も財力も、家系も容貌も、すべてがまったく異なります。歌詞にあるように、その1つひとつがすべて“オンリーワン”なのです。

 大都会に聳えるタワーマンションに住みたいという人もいれば、自然豊かな片田舎に佇む古民家に住みたいという人もいる。そのどちらが幸せなのかを考えたって、まったく意味はありません。

 童謡詩人の金子みすゞさんは、「みんなちがって、みんないい」と言いました。

 そう、「自分は自分、人は人」――人はそれぞれ違うのです。そう割り切って、人と自分を比較することをやめれば、人生はずっと楽になります。

 そのための言葉が「人それぞれ」です。

『弘兼流 人生は後半戦がおもしろい』書影『弘兼流 人生は後半戦がおもしろい』(弘兼憲史、中央公論新社)

 マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツも、次のように言っています。

「自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」

「まあいいか」

「それがどうした」

「人それぞれ」

 この3つの言葉があれば、人生、たいていのことは乗り越えられます。少なくとも、僕はそれでやってきました。

 ただし、くれぐれも不義理はいけません。

 人に迷惑をかけておいて「まあいいか」「それがどうした」「人それぞれ」が通るわけがないのです。くれぐれもご注意を。