また、プレイをしている本人はゲームを進めなければいけません。練習であれば中断して議論をしたほうが有意義なこともありますが、適宜必要なタイミングでゲームを止めて議論をしたり、論点を終了時まで覚えておくことは思いのほか簡単ではありません。

 第三者であれば思考リソースに空きがあるので、「本当にこのプレイでいいのか?」「もっといい手がありそうだけど」といった違和感をしっかり発見して抱えていることができます。

 対戦中の自分が囚われているバイアスに気付くには客観的な視点が必要ですし、対戦中に気付けなかったミスに気付くには思考リソースに余裕がある人の観点が必要です。

 練習を対戦することだけだと思っていた人もいるかもしれませんが、まずは見てもらうことからはじめましょう。相手がすぐに見つからなければ録画した自分のプレイを見返してみるのもいいでしょう。目から鱗が落ちる経験になるはずです。

チーム練習で得られる
練習効率と情報共有の視点

 カードゲームは個人競技ですが、ほとんどのプロカードゲーマーがチームで練習をしています。観戦して指摘するメンバーをつけての練習を常にできるのも大きなメリットですし、玉石混交のランダムな相手よりも、うまくなりたい気持ちや目標を共有する仲間との対戦の質が高いのはもちろんです。

 しかし、それ以上に得るものがあります。何より、楽しいのです。「勝つことへのこだわり」や「負けたくない気持ち」が視野を狭めて逆に勝率から遠のいてしまうことがあるのは前章でも述べた通りです。「楽しむこと」と「合理的であること」は両立するどころか、相関すらします。

 チームがもつ特に大きな2つの機能は、練習効率と情報共有です。練習効率は議論をしながらの対戦をはじめ、ミスに気付き、減らしていくことに主眼をおいた、いわば「敗者のゲーム」(編集部注/積極的に攻勢に出ず、相手のミスを待って勝つアマチュアレベルのゲームのこと)としての側面に関わるものであると言えます。それに対して、情報共有は戦略単位での流行や、それに合わせたデッキ、入れるカードなどで「勝者」側に回るための側面と言えます。